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2012年11月18日(日)

ミス続出の拡散予測

原子力安全基盤機構

天下り法人に「丸投げ」

問われる原子力規制委

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 原子力規制委員会(田中俊一委員長)が公表した、原発事故の際に放出される放射性物質の拡散予測図にミスが相次いでいますが、規制委が計算を丸投げしたのは、原発を推進してきた旧原子力安全・保安院ОBが幹部を占める独立行政法人です。


 この独立行政法人は、原子力安全基盤機構(JNES、東京都港区)。2002年8月に発覚した東京電力のトラブル隠しで、保安院が東電による検査結果の改ざんを見抜けなかったことから03年10月に設立されました。

 原発関連施設の唯一の法定検査機関として出発しましたが、核燃料の検査方法を定めた手順書を、検査対象の燃料加工会社が作成した原案を「丸写し」して検査していたことが明るみに出ています。

 今回、規制委は、全国16原発で東電福島第1原発と同程度の重大事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測をJNESに行わせ、(1)10月24日に拡散先の一部の市町村を取り違える(2)同29日に、6原発で風向きが22・5度ずつずれる誤り(3)11月6日には、九州電力の玄海原発(佐賀県)と川内原発(鹿児島県)で、風上と風下を取り違える―の訂正を繰り返しています。

 こうした現状の背景には、JNESを設立した際、実務経験のある職員を原発メーカーや電力会社などから多数、中途採用したという経過があります。

 JNESの幹部も3人の理事のうち、2人(1人は理事長代理)が原発推進の通商産業省(現経済産業省)出身で、原子力安全・保安院の首席統括安全審査官や原子力安全審査課長、審議官(原子力安全基盤担当)などを歴任しています。

 2009年から11年に発覚した不祥事を受けてつくられた「検査等業務についての第三者委員会」の報告書(1月)は、JNESについて「機構による定期検査が、事業者による検査を形式的に追認するだけのものとなっていたと解されてもやむをえない」「機構の検査の主体性、独立性に疑問を投げかけるものだ」と指摘。「検査等業務における事業者への依存体質を改善することが不可欠であり不可避」と指摘し、改善を求めていました。

 規制委の14日の記者会見では、記者からJNESの組織について問題意識を問われた田中委員長は、「10年前からこれまでどんなことをしてきたかということをつまびらかに知らない」と回答。拡散予測を丸投げしていたことについて、「これから安全規制に必要な知識や人材はかなり幅広い、高レベルのものが要求されるが、残念ながら、ちょっと時間がかかる」とのべました。安全規制の独立性の向上が求められています。


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