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2012年11月11日(日)

主張

BSEとTPP

経済主権でこその「食の安全」

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 米国産牛肉への輸入規制を、野田佳彦政権が米国の言うがままに取り払おうとしています。厚生労働省は来年早々にも緩和に踏み切る構えです。消費者も専門家も強い懸念を表明するなかで、政府が食品の安全・安心を損なう決定を強行することは許されません。

輸出拡大のため

 米産牛肉の輸入には、20カ月齢以下の若い牛に限るとともに、頭部や脊髄、脊柱などの特定危険部位を除去することを義務づけています。人のクロイツフェルト・ヤコブ病の原因となるBSE(牛海綿状脳症)に感染した牛肉の侵入を防ぐためです。しかし、米国は牛肉輸出の拡大をはかろうとして、重要な輸出先である日本に規制見直しを迫ってきました。

 野田政権は輸入対象を30カ月齢まで拡大し、危険部位も30カ月齢までは輸入を認める方向で見直しを進めています。日本国内では、政府の予算措置で21カ月齢以上の牛を検査するとともに、自治体が自主的に全頭検査を行っています。日本側に規制を見直すべき理由はなく、政府の動きが米国の圧力によることは明らかです。

 輸入牛肉の規制見直しを消費者団体などは強く批判しています。検討を進めている食品安全委員会の委員からも懸念が表明されています。米国でのBSE対策には、重大な問題があるからです。

 米国では年間に数千万頭の牛が食肉処理されますが、BSE検査の対象となるのは千分の1程度にすぎず、感染が見逃されている可能性は否定できません。日本で禁止されている牛の肉骨粉の豚や鶏の飼料への利用が、米国では禁止されず、牛の飼料に混じり込む可能性も指摘されています。今年4月、米国で4例目のBSE感染牛が発見された際、米消費者団体は米産牛肉の安全性に「深刻な懸念」を示した声明を出しています。

 米国での対策は大企業の利益を優先したものです。2004年、米産牛肉の輸入を禁止していた日本向けに、中規模の企業が自主的な全頭検査の実施を申請しました。しかし、コスト増を避けたい大企業が競争上不利になることから米政府は申請を門前払いにし、安全への軽視を浮き彫りにしたものと注目されました。

 規制緩和が輸入肉ばかりか、国内の検査体制の否定につながることも重大です。危険を予防するには全頭検査を維持するとともに、輸入品にもその基準を適用することこそが必要です。

 今回の規制見直しが、日本が環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加するための“入場料”となっていることは見過ごせません。米国は米産牛肉の輸入規制の緩和を、日本のTPP参加を認める3条件の最優先課題としてきました。今回の経緯は、TPPが食の安全・安心を掘り崩すと同時に、国内での規制も揺るがし、米国の言いなりに経済主権を明け渡すものであることを鮮明に示しています。

批判踏みにじる

 枝野幸男経産相や前原誠司国家戦略担当相ら野田政権の閣僚が、解散・総選挙を視野に入れて、TPP推進を一段と声高に叫んでいます。高まるTPPへの批判を踏みにじる、世論への挑戦というべき姿勢です。日本共産党は、農業団体をはじめ広範な国民と協力して、TPP参加阻止のために力を尽くします。


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