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2012年10月22日(月)

揺れる「減税日本」

“個人政党”の限界露呈

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 民主、自民に代わる国政政党へ動き出している「減税日本」代表の河村たかし名古屋市長。その足元が揺れています。市長の与党、市議会(定数75)最大会派の「減税日本ナゴヤ」(減税ナゴヤ、21人)が相次ぐ不祥事や分裂で市民の信頼を失っているのです。何が起きているのでしょうか―。

(和田肇)


 この夏以降、「減税ナゴヤ」の“負の象徴”になっているのが河合優議員(減税日本を除籍)です。政務調査費の不正使用や女性同伴の公費視察、高級スポーツカーでの当て逃げ事件と、不祥事を重ねました。9月議会初日の先月11日、市議会の全会一致で議員辞職決議を受けたものの、「やりたいことは山ほどある」と居座っています。

市長の責任問う

 市民からは批判の声が上がっています。市民団体「議員通信簿連絡会議」(松元保代表)がはがきアンケート(1000枚配布、348通返信)を実施したところ、実に344人が即時辞職を求めました。自由記述欄には「議員としての基本的な使命、責任感が感じられない」などと辛らつな意見が並びます。「河村市長ももっと責任を持つべき」だと、市長の責任を問う意見も目立ちます。

 松元代表は驚きます。「議員を続けるべきだという意見がゼロだった。今後は選んだ有権者の責任で(議員リコール請求に)立ち上がるべきだと思う」

 河合議員の処遇をめぐっての「減税ナゴヤ」の対応は、会派としての体をなしていません。

 9月21日の各派団長・幹事長会議でのこと。日本共産党を含む野党5会派は、辞職に応じない河合議員について、リコールを呼び掛けるくらいの決意が必要だと「減税ナゴヤ」に迫りました。

 浅井康正団長は「市長の意向でリコールはできない」と突っぱねました。それだけでは他会派の批判をかわせないと考えたのか、浅井団長と余語冴耶香幹事長は、各派会議に団長・幹事長のサインの入った覚書を提出しました。「今後、議会運営にかかる協議に、減税日本ナゴヤが関与できなくても差し支えありません」というのです。

 出席していた日本共産党の田口一登幹事長はいいます。「そんな文書にサインしていいのか、と驚きました。第1党が議運協議に加わらないのでは、正常な議会運営ができません。とりあえず、『減税ナゴヤ』は常任・特別委員会の委員長職などを辞退する、ということで収拾することにしました」

 ところが、「減税ナゴヤ」内部から異論が噴出、覚書は団長と幹事長の独断だったのです。「文書は無効」「委員長ポストは辞任しない」と言い出しました。

 そして10月1日、総務環境委員会は「減税ナゴヤ」の湯川栄光委員長の不信任決議を賛成多数で可決。湯川委員長は辞任しました。二転三転する「減税ナゴヤ」側の対応に委員会審議は3時間もストップ。市議会で最大会派が委員長職を持たないのは「おそらく市議会史上初めて」(議事課)という事態になりました。

政党にほど遠い

 「減税ナゴヤ」の混迷の根本には、国政政党化を狙う「減税日本」が政党にほど遠い実態があります。

 運営ルールがなく、協議に出席した団長らが自分だけの考えを表明、団員がそれを支持せず、話が振り出しに戻る―といった事例が頻発します。

 会派の現状に不満を持った議員の分裂も起きています。

 ことし3月、「減税ナゴヤ」は市議会議長続投を表明した中村孝太郎前議長を「市議団の意向を無視した」として除名。すると処分に疑問を持つ議員4人が会派を離脱し、中村前議長と「減税日本新政会」を結成しました(現在6人)。

 河村市長には、市政に対する熱意が見えません。日本共産党市議団が予算要望した際も「わし、社長でも、なかなか(職員が)いうことを聞いてくれんでなあ」と人ごとのような対応です。地元紙からも「市長こそ、来年四月までの任期中、市政のかじ取りをネグレクト(放棄)してもらっては困る」(「中日」6日付)と注文をつけられるほど。

 河村市長の個人人気に頼った「減税日本」。党内議論と意思決定の仕組みを持たず、市長の言うままに右往左往する「減税ナゴヤ」が個人政党の限界の一つを示しています。


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