2012年10月21日(日)
レバノン首都爆弾テロ
情報部門責任者が死亡
【カイロ=小泉大介】内戦下にあるシリアの隣国レバノンの首都ベイルート中心部で19日、自動車爆弾を使ったテロ事件が発生し、情報部門の高官ら8人が死亡、約80人が負傷しました。同高官は、シリア・アサド政権に対抗する有力者として知られており、現地ではシリア内戦が飛び火したとの見方が強まっています。
死亡した一人は、レバノンの国内治安部隊(ISF)の情報部門責任者、ウイサム・ハッサン氏で、今年8月、爆弾テロを計画した容疑で親アサド政権の政治家が逮捕された際、この捜査を主導しました。また、2005年に反シリアのラフィーク・ハリリ元首相が自動車爆弾テロで暗殺された事件の捜査でも中心的な役割を果たしました。
ISFのリフィ長官は地元テレビに対し、「われわれは治安対策の中心人物を失った。今後、さらに犠牲者が出ることは疑いない」と表明。またハリリ元首相の次男で昨年1月まで首相を務めたサード・ハリリ氏はシリアのアサド政権が事件の責任を負っているとし、「レバノン人民はこの憎むべき犯罪に対し黙ってはいない」と述べました。
歴史的にシリア地方の一部であり、2005年までシリアが大規模な軍隊を駐留させ実質的に支配してきたレバノンでは、シリア内戦が激化して以降、アサド政権派と反政権派の武装勢力による銃撃戦や誘拐事件が発生するなど、緊張が高まっています。
国連とアラブ連盟合同のシリア特別代表であるブラヒミ氏は17日にベイルートで行った会見で、シリア内戦に関し「この危機はシリアの領土内に限定されたものではない。解決されなければ、地域全体に燃え広がる」と強く警告していました。