2012年10月21日(日)
きょうの潮流
年とともに、食べ物や飲み物が危うく気管に入りそうになってむせるときがふえました。細菌ともども誤ってのみこんで起こる、「誤嚥(ごえん)性肺炎」の5文字が思い浮かびます▼ハンセン病の元患者さんも、誤嚥性肺炎によく命を奪われます。後遺症で舌やのどのまひしている人が多い。療養所に入っている人の平均年齢は82歳。普段から、1人対1人の介助が欠かせません▼しかし、いま入所者は、不安を通り越し、生存を脅かされていると感じています。医師も看護師も足りない。公務員減らしを、国がハンセン病療養所にまであてはめるありさま。4年前に1980人いた国立療養所の介護職員は、350人以上減らされました▼群馬の栗生(くりゅう)楽泉園の谺(こだま)雄二さんから、お便りが届きました。「ついに、来たる11月5日午後6時、東京・北の丸公園内『科学技術館』において…ハンストや坐り込みの実力行使を覚悟で、(政府を)告発する市民集会を開催」「ご参加を心からお願いします」▼栗生楽泉園で亡くなった人のほぼ4割、約800人の遺骨が納骨堂の骨壺(つぼ)に入っていません。1948年に納骨堂ができる前、当局が所内の土手の穴にほったらかすなどして、誰の遺骨か分からなくなったのです▼国が1世紀にわたるこんな人権侵害を改めたはずなのに、元患者は「この期に及んでなお『病み棄(す)て』ハンセン病行政に苦しんでいる」と、谺さん。さらにいいます。今度の集会は、「命の終わりが迫っている私たち入所者の最後の叫び」だ、と。