2012年10月18日(木)
抜本改革棚上げ・定数削減狙う
「0増5減」先行論浮上
衆院選挙制度改革をめぐって、小選挙区の「0増5減」の先行実施の動きが浮上しています。現行制度の抜本改革を棚上げし、小選挙区制固定化・議員削減をねらう動きです。
「今まで各党がいってきた定数削減を先送りしようということなら、(0増5減を)考慮する余地がある」
民主党の輿石東幹事長は14日のテレビ番組でこうのべ、先行実施を検討する考えを表明しました。
自民党の石破茂幹事長も「何が優先順位かと言えば、憲法違反の状態を解消すること」と同番組で表明。公明党の井上義久幹事長も「大方の政党で合意できるなら、選択肢の一つだ」と応じました。
先の国会で民主党は抜本改革の必要性で一致していた各党協議を打ち切り、「0増5減」とともに比例中心に80議席を削減する法案を一方的に提出。選挙制度を与党だけで強行する暴挙に対して、全野党が反対し、参院で廃案となりました。
今度は、最高裁が違憲状態とした小選挙区の「1票の格差」を是正するためと称して、「0増5減」から実施しようというものです。
「0増5減」はもともと自民党が主張していたもので、民主党が消費税増税を押し付けるために、「身を切る改革」が必要だとして丸のみしたものです。しかし、2009年総選挙時の最大2・3倍の格差を1・8倍程度に抑えるにすぎず、抜本改正になりません。
しかも、定数削減をあきらめたわけではなく、輿石幹事長は15日の記者会見でも「消費税という大変なご負担をお願いするんだから」といって「定数削減」を実施する考えを強調しています。
「0増5減」を先行実施すれば小選挙区部分は固定化され、定数削減を行うために比例部分を削減することになるのは明らかです。民意を最も正確に反映する比例部分の削減は民意をゆがめる現行制度の害悪をいっそうひどくするだけです。
日本共産党は、増税反対の民意を踏みにじって消費税増税を押し付けたうえに、さらに民意を削ることなど許されないと批判。民意を正確に反映する抜本改革こそやるべきだと主張しています。 (深山直人)