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2012年10月9日(火)

チャベス大統領4選

ベネズエラ大統領選挙 改革路線 改めて信任

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 【カラカス=菅原啓】南米ベネズエラで7日実施された大統領選挙で、現職のチャベス大統領が野党統一候補を破って当選を果たしました。1998年の初当選以来、大企業優先の新自由主義に反対し、豊富な石油資源を背景に貧困削減など国民生活向上に重点を置いたチャベス大統領の改革路線が改めて国民の過半数の信任を得た結果となりました。


 選挙管理にあたる全国選挙評議会(CNE)が7日夜に発表した暫定結果(約90%の集計)によると、チャベス大統領の得票率は54・4%で、事前に接戦が伝えられた右派政党を中心とする野党連合のカプリレス前ミランダ州知事は44・9%にとどまりました。投票率は過去最高の約81%に達しました。

 最終盤まで自身が大差で勝利すると語っていたカプリレス氏もこの結果を受けて、「チャベス候補を祝福する」と表明し、敗北を認めました。

 首都カラカス市内では、選挙結果が判明した直後に花火が上がり、チャベス政権の支持者らが街頭に出て、与党の旗や国旗を振り、歓声を上げました。

 大統領官邸に詰めかけた群衆を前に、チャベス大統領は、選挙結果を「国民の勝利」と指摘。ベネズエラは「新自由主義にはもどらない」「21世紀の民主的なボリバル的な社会主義」をめざすと決意を表明しました。

野党候補「善戦」が問うもの

 「14年間続けてきた革命をもっと深化させることができる」

 ベネズエラ大統領選でチャベス氏当選が発表された直後、民間企業に勤める会社員ペレイラさん(55)は満面の笑みを見せてこう語りました。

 チャベス政権は、豊富な石油輸出収入を国民生活改善の施策に振り向け、安価な食料品販売網の設立、最低賃金の連続的引き上げ、公的医療機関の無料化などを実現。この結果、貧困世帯の割合は、チャベス大統領就任前の1998年の44・3%から26・7%(2011年)まで大幅に引き下げるなどの成果を挙げてきました。

 チャベス氏が約10ポイントの差で対抗馬のカプリレス氏に勝利したことは、「改革の全般的な方向について多数の有権者が信任した」(経済学者ルベン・ララ氏)ことを示しています。

 一方、今回のチャベス氏の得票率は勝利した過去3回の大統領選挙と比べて最低水準にとどまりました。野党側は2年前の国会議員選の得票数からさらに100万票も上積みする「善戦」でした。治安悪化への不安やインフレなどの経済問題への懸念が影響したとの報道もあります。

 カプリレス候補は、民営化推進など新自由主義政策を信奉する右派の政治家。しかし、財界が牛耳るマスコミは、穏健な改革者のイメージを大宣伝しました。カプリレス氏は各地の遊説で、チャベス政権の「ミシオン(社会開発の諸計画)の内容はいいが、ほとんど機能していない」などの訴えを繰り返しました。

 担当者の汚職や能力不足などのためにミシオンがうまく進んでいないところがあるのは事実です。そのため、こうしたチャベス政権への不満をあおる攻撃は、大きな効果を発揮しました。

 チャベス大統領は計画の実行をきちんとフォローするしくみが不足していたことを自らの「誤り」の一つだと認め、改善を約束。勝利宣言の演説でも「よりよい大統領になる」と表明しました。

 4選を果たしたチャベス政権が選挙からどんな教訓をくみ取るのか、改革の基本は維持しながらどんな是正に踏み出すのか、国民は期待を込めて見つめています。(カラカス=菅原啓)


 ベネズエラ・ボリバル共和国 人口約3000万人で、公用語はスペイン語、国民の約85%がカトリック教徒です。面積は約92万平方キロ(日本の約2・4倍)で、首都はカラカス。議会は一院制(165議席)を採用。主産業は石油や天然ガスなど天然資源の生産・輸出で、1人当たりの国民総所得は約1万1600ドル(約91万円)です。

ベネズエラ関連年表

 1998年12月 大統領選挙で「貧者救済」「汚職一掃」を掲げたチャベス氏が56%の得票で初当選

 99年12月 国民投票で新憲法案を批准

 2000年7月 改憲に伴う大統領選でチャベス氏が再選

 02年4月 クーデターにより実業家や一部の軍人がチャベス氏を一時拘束。国民の抗議で復帰

 02年12月 反チャベス派の労組中心に2カ月のゼネスト開始

 04年8月 野党による大統領罷免要求の国民投票。反対が約60%を占めて否決

 05年12月 国会議員選挙。野党がボイコットし、与党が圧勝

 06年12月 大統領選挙でチャベス氏が3選

 09年2月 憲法の再選制限規定の撤廃を問う国民投票。賛成多数で承認

 11年6月 チャベス氏が、がんを告白


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