2012年10月3日(水)
「世界の難民 今世紀最悪水準」
国連高官「対応限界に」
従来の紛争に加え同時発生
グテレス国連難民高等弁務官は1日、世界の新たな難民が今年、今世紀に入って最高の水準に達し、人道機関の対応能力が限界に達していると警告しました。ジュネーブで同日始まった国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)執行委員会年次会合での開会あいさつの中で言明しました。
グテレス氏は、その要因として従来から続く紛争に加え、中東のシリア、アフリカのマリ、南北スーダン、コンゴ民主共和国などでの新たな緊急事態が同時発生したことを指摘しました。
同氏は「紛争に続く紛争で、2011年にすでに80万人を超える人々、1日当たり2000人以上が保護を求めて国境を越えた。これはこの10年で最高だった」「12年はこれまでにコンゴ、マリ、スーダン、シリアから70万人の人々が脱出した」と強調しました。
さらに同氏は、移住を強いられた世界の人々を援助するというUNHCRの能力が今“根底から試されている”と強調。難民受け入れ国や資金提供国に感謝を表明すると同時に、「長期化しているアフガニスタンやソマリアなどの人々を含め、世界の難民・国内避難民約4200万人を支援するための経費が急速に増加している」と、UNHCRの窮状を訴えました。
特にアフリカでの活動が深刻な資金不足に陥っていると指摘、「現時点では、予期できない事態に対応する余裕がない」と憂慮を表明しました。
UNHCR執行委員会は加盟国79カ国で構成され、年次会合が毎年10月、ジュネーブで開催されます。 (夏目雅至)