「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年10月1日(月)

主張

無人機攻撃

戦争行為がテロ拡大の温床に

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 米国がテロ対策として、パキスタンをはじめイエメン、ソマリア、リビアなどで、遠隔操縦の無人機によるミサイル攻撃を行ってきたことに、国際的にも米国内にも批判が強まっています。無人機による攻撃は、特殊作戦を重視するオバマ政権のもとで大きく強化されてきました。他国の主権を侵して殺害行為を重ねることは、米国の意図とは逆にテロ拡大の温床ともなり、和平へのさらなる障害をつくりだすものです。

子どもまで犠牲に

 パキスタンのザルダリ大統領は国連総会での演説で、テロとの闘争でパキスタンほど犠牲を払っている国はないと強調し、こう続けました。「無人機による攻撃と(それによる)市民の犠牲は、この壮大な闘争に向けた国民の支持を得るのを複雑にしている」。パキスタンの立場を反映した微妙な物言いながら、米国に対する批判は明確です。

 無人機攻撃はしばしば誤爆を伴い、女性や子どもへの犠牲も後を絶たず、米国への反感を高めています。米ピュー・リサーチ・センターの世論調査によれば、オバマ政権下の米国を「敵」とみなすパキスタン国民は年々増え、今年は74%にのぼっています。

 重大なのは、無人機攻撃は対象国の主権を乱暴に侵害する戦争行為でありながら、ひそかに遂行されることで戦争のハードルを低めていることです。オバマ政権は昨年リビアで、国連安保理の明確な同意も米国民の意思確認もないまま、無人機攻撃によって実質的に軍事介入しました。圧倒的な軍事力にものをいわせて、他国で勝手に理不尽な軍事行動を展開するなど許されることではありません。

 無人機攻撃はパキスタンにとどまらず、イスラム諸国を中心として世界中に反米感情を広げています。同センターの別の世論調査によれば、無人機攻撃に過半数の国民が反対している国は調査対象の20カ国中17カ国にのぼり、米国の対外政策への支持はイスラム諸国でわずか15%です。イスラム教の預言者ムハンマドを冒?(ぼうとく)したとされる映像をきっかけに、イスラム諸国で反米感情が広がったことには、米国自身の行動も反映しているとみるべきです。

 オバマ政権は、同時多発テロ首謀者のウサマ・ビンラディンをパキスタン国内で特殊作戦によって殺害したことを、対外政策の最大の成果としています。「法の裁き」の外での殺害を誇る姿勢からは、国際的な批判を受け入れて無人機攻撃をやめるという方向づけはみられません。

 見過ごせないのは、無人機による攻撃が世界に拡散しかねないことです。無人機の軍事利用が偵察などの目的で急速に広まっています。そのなかで、各国が無人機攻撃に踏み出す危険があり、米国の攻撃がそれを刺激していることに、米政府内にさえ懸念の声があると伝えられます。

正当化への批判を

 オバマ政権がアフガニスタンでの戦争を収束させると公言する以上、アフガン戦争と一体で推進してきたパキスタンでの無人機攻撃もやめるべきです。攻撃は米国が一方的に行っており、ただちにやめられるものです。

 無人機による攻撃を正当化する米国の姿勢にはいっそうの監視と批判が必要です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって