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2012年9月11日(火)

爆弾テロ 宗派対立激化

イラク、8日以降100人が死亡

副大統領に死刑判決も

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 【カイロ=小泉大介】米軍が「安定の実現」を宣言し昨年末に「完全撤退」したイラクで、8日夜から9日にかけ全土で爆弾テロが多発し、現地からの報道では100人以上が死亡しました。また9日にはマリキ首相の指示で逮捕状が出ていたハシミ副大統領に対し死刑判決が出され、同国のさらなる「宗派対立」の激化が懸念される事態となっています。

 今回の連続爆弾テロは、全土で20カ所以上におよんだとされます。中でも首都バグダッドでは主にイスラム教シーア派住民の居住区における自動車爆弾テロなどで40人以上が死亡しました。内務省は「攻撃は、宗派的、政治的緊張をもたらすことを目的にしたものだ」「われわれの対テロのたたかいは今後も続く」と声明しました。

 イラクではこの間、治安悪化が顕著で、今年7月には爆弾テロなどで325人が死亡。2010年8月に426人が死亡して以降、1カ月間の死者としては最多となっていました。8月は減ったものの、9月に入り連日のようにテロや銃撃が発生しています。

 一方、首都バグダッドの刑事裁判所は9日、ハシミ副大統領に対し死刑判決を出しました。イスラム教スンニ派のハシミ氏に対し、政府高官暗殺を指示した容疑で逮捕状が出たのは昨年12月。同氏は逮捕状はシーア派のマリキ首相の「政治的動機」によるものだと無実を主張し出国、現在はトルコに滞在しているとされます。

 被告人不在のなか下された判決について、副大統領弁護団は声明で「イラクの司法制度が政治的圧力にさらされていることは明白となった」と非難しました。

 イラクでは、副大統領への逮捕状発布以降、内相や国防相も兼務するマリキ首相が「独裁的」手法でスンニ派を弾圧しているとの批判が拡大。同派に加え世俗派や一部シーア派の間で、首相不信任案を可決する動きが現在もくすぶっています。今回の死刑判決が反首相派勢力をあらためて刺激し、治安悪化の背景ともなっている政治的緊張を高めることは避けられない状況です。


 イラクの宗派対立 イラクではイスラム教シーア派が人口の約60%を占めています。旧フセイン政権時代、少数派のスンニ派を優遇しましたが、2003年に米軍がイラクに侵攻しフセイン政権を打倒した後、シーア派優位の政治体制が確立。宗派間抗争が激化しました。シーア派主導のマリキ政権は、米軍占領下で両派の融和をいったんは試みますが、11年の米軍撤退後、政権運営をめぐってスンニ派との対立が再燃しました。


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