2012年9月7日(金)
アラブ連盟外相会議 合意
シリア 政権移行 平和的に
国連参加 パレスチナ資格格上げを
【カイロ=小泉大介】アラブ連盟(21カ国とパレスチナ自治政府が加盟)の外相会議が5日、カイロの連盟本部で開催され、内戦状態激化のシリアにおける平和的政権移行を求めることで一致しました。また会議では、もう一つの焦眉の課題であるパレスチナ独立国家樹立をめぐり、当面、国連参加資格の格上げを目指すことでも合意しました。
シリアでは5日も、同国の人権団体「地域調整委員会」によると主に政府軍の攻撃により272人が死亡。そのような状況下、外相会議では6月末に就任したエジプトのモルシ大統領が、アラブ連盟の会合では初めてとなる演説を行い、シリアのアサド政権に退陣を求めました。
同大統領は、「われわれは内戦を終わらせるため、外国の軍事介入を阻止するためにシリア人民を支援しなければならない」と強調。そのうえで、「私はシリアの政権に対し訴える。まだ流血の事態を止めるチャンスは残っている、いまこそ変革を実現する時だ」と主張しました。
モルシ大統領は事態打開の具体化のため、エジプト、サウジアラビア、トルコに、シリアと「同盟」関係にあるイランを加えた4カ国の会合を提案しており、外相会議ではこれが近く開催されるとの見通しを示しました。
アラブ連盟のアラビ事務局長は会議後の会見で、モルシ大統領のイニシアチブを歓迎し、シリア問題に軍事的解決策はなく、最終的には政治的に解決されなくてはならないと強調しました。
パレスチナ問題に関しては、自治政府のアッバス議長が演説し、「われわれは今月開催の国連総会において、パレスチナの地位の格上げを目指す」と表明しました。
アラビ事務局長はこの表明について、最終的な目標は国連への正式加盟であるが、国連安全保障理事会の承認が必要なため現時点では難しいと指摘。当面、現在の「組織」としてのオブザーバーから、国連総会での過半数の加盟国の賛成で可能な「国」としてのオブザーバーへの格上げを目指すものだと説明しました。