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2012年9月5日(水)

9・9県民大会へ 沖縄の思い

今そこにある「墜落の恐怖」

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 オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会が9日、開かれます。なぜ県民が一致団結して配備に反対するのか。その思いを伝えます。 (青野圭、竹下岳)


写真

(写真)基地の県内移設に反対する県民会議や新婦人、普天間爆音訴訟団などのノボリが林立する毎週金曜日の普天間抗議行動

宜野湾

「米に口出しできぬ日本政府。まさに属国だ」

 「逃げ出したいと思うほどの恐怖を初めて感じる」

 米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが配備される普天間基地(沖縄県宜野湾市)。隣接する沖縄国際大学の近くに研究室を置く鎌田隆名誉教授(70)は言います。

 住宅地のど真ん中に位置する同基地周辺の住民は、年間2万回におよぶ米軍機の飛行で爆音に苦しめられています。加えて、欠陥機オスプレイ配備で「墜落の恐怖」が広がっています。

 沖縄国際大では、8年前の2004年8月13日、普天間基地所属のCH53大型ヘリが校舎に激突、炎上しました。鎌田さんは当時、同大「米軍ヘリ墜落事件対策本部」のメンバーを務めました。

 ヘリが墜落すると、米軍は学内を封鎖し、大学関係者さえ排除するなど横暴の限りを尽くしました。日本の消防や警察が現場検証できたのは米軍が機体の残骸など一切を持ち去った後でした。

放射線測定器

 鎌田さんには忘れられないことがあります。墜落現場で米軍がひそかにガイガーカウンター(放射線測定器)を使っていることに大学側が気づいて抗議。説明を求めた場で、米軍は放射性物質を使用した部品の一部が焼失したことを明かしたのです。

 「米軍は現場一帯の表土まで削り取って持ち去りました。危険性を認識していたことは明らかです。放射能による大学職員の健康被害を覚悟しました」

 市民や県民の安全を顧みない日米両政府の姿勢は今も変わりません。「今年に入って相次いだ墜落事故を“人的ミス”ですます米政府と、それを容認する日本政府。ハワイでは住民の抗議でオスプレイの訓練が中止になるのに、なぜ日本では許されるのか」

 事故当時、市長だった伊波洋一さんがヘリ墜落の一報を受けたのは、「世界一危険」な普天間基地の危険性を訴えた訪米報告をしていた最中でした。滑走路の延長線上に数千人の住民が居住する同基地は、米国内法では違法とされています。

 「日本政府は復帰後40年間、この事態を容認してきました。さらに、人口密集地域にオスプレイを配備するなど米本土ではありえない」と指摘します。

安保廃棄問う

 普天間基地に隣接する宜野湾市嘉数に約30年住む島田善次さん(72)は「米軍機は昼も夜も勝手気ままに飛んでいる。2人の子どもが小さかったころ、寝かそうとしても爆音のたびに飛び起きて火がついたように泣き叫んだ。その状況は今も変わらない」といいます。牧師である島田さんが普天間爆音訴訟団の団長を務める理由がここにあります。

 「飛行差し止め訴訟で明らかになったのは、日本の司法も政府もアメリカのやることに一切口出しできないということだった。まさに属国だ」と怒り、こう断言します。

 「この上、オスプレイを配備するのは我慢の限界だ。日米両政府が頼っている安保条約を破棄しないと沖縄も日本も救えない」

普天間基地の運用実態

合意違反が日常化 “安全対策”説得力なし

図

日米両政府が合意した普天間基地の場周経路

図

沖縄防衛局が調査した実際の飛行経路(2010年12月分)

 異質の危険、異質の恐怖が、宜野湾市民を覆っています。

 普天間基地を拠点とする米海兵隊のヘリ部隊は、昼夜を分かたぬ飛行訓練を行い、市民を苦しめています。加えて、今年4月には岩国基地などからFA18戦闘攻撃機が飛来。100デシベルを超える爆音が続き、小学校の入学式が中断に追い込まれるなど、外来機による爆音も目立っています。

 「このような爆音被害に加え、墜落の恐怖を訴える市民の苦情が目立っています」。宜野湾市の当山全盛基地渉外課長は言います。

 「オスプレイが墜落したとのニュースを聞いた。市民が団結して反対しないと、大変なことになる」

 「配備を望む県民はだれもいない。安全というが、立て続けに墜落している」

 「このままでは、宜野湾に住めなくなる」

 「(墜落の危険で)防音工事も意味がない」―。

 日米両政府はオスプレイ配備に向けて、「市街地上空を飛ばない飛行経路を設定する」などの「安全策」の検討に入っています。

 しかし、同基地では日米合意が平然と踏みにじられてきており、説得力は皆無です。

 1996年の普天間基地騒音防止協定は、深夜・早朝(午後10時〜午前7時)の飛行を規制。しかし、もっとも騒音の激しい同市の上大謝名地区では2010年度、深夜・早朝では96年以降で最悪となる月平均96回の騒音(環境基準値の70W以上)を測定。オスプレイ配備に伴う「環境レビュー」(米軍報告書)では、深夜・早朝での飛行について、交代前のCH46が年間76回に対してオスプレイは280回と激増することを平然と示しています。

 2007年には、「危険性除去」を掲げた場周経路が新たに合意されました。しかし、米軍はこれを日常的に逸脱し、どこからでも自由に基地に出入りしています。沖縄防衛局が昨年10月に公表した普天間基地での回転翼機の飛行状況調査(図)からも明らかです。

 米軍は一貫して、拘束力のある基地使用協定の締結を拒み続けていることから、今後も「基地使用の自由」を確保する考えです。

 何よりも重大なのは、今年4月と6月に発生したオスプレイ墜落事故に関して、米軍は「人的ミス」と結論づけていることです。沖縄国際大での墜落事故(2004年8月)も整備不良が原因とされました。

 今後も「人的ミス」による墜落は起こりうると証明しているようなものです。


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