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2012年9月2日(日)

政治考

“浮き草”か“草の根”か

「共産党除くと政党らしい政党はない」

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 国民への背信と党利党略に明け暮れる民主・自民の「二大政党」、解散・総選挙が迫り選挙目当てで新党結成や橋下「大阪維新の会」との連携を模索する政治勢力や政治家の動き…。そんななかで、政党の原点とはなにか、政党らしい政党はどこかが国民的に問われています。(政党・政局取材班)


“敵ながらあっぱれ”自民総裁

写真

(写真)草の根で国民と結びつく日本共産党。写真は、右から内閣不信任案で賛成討論する志位委員長、左下はTPP参加阻止の国民集会(4月25日)、左上は地域で宣伝活動する党支部の人たち(大分市)

 8月31日、東京・永田町の自民党本部。そこで開かれたある会合で、谷垣禎一総裁が講演しました。

 谷垣氏は、3年前の総選挙で失った政権を奪回するため、同党が地方組織から立て直しを図ってきた経過に触れながら、こうのべました。

 「日本(の政党)で地方組織をしっかりし、どこへいってもそれなりのレベルの地方議員をもっているのはそう多くない。共産党というのは、そこは敵ながらあっぱれで、それなりのレベルの地方議員を持っている」

■2万の党支部

 谷垣氏の指摘は、自民党が下野してから取り組んだ地方行脚を踏まえたもの。そこで、体験的に実感したのが、日本共産党の“草の根”の力だというわけです。ちなみに、日本共産党の地方議員は2743人(8月27日現在)、全国2万余の党支部が、日常的に国民と結びついて活動しています。

 鳥取県知事や総務相を歴任した片山善博氏(慶応義塾大教授)は、『中央公論』9月号の対談で、「政党本来の姿」について論じています。「政党には党員がいて、党員たちの願いをかなえるための政策があり、その政策を実現するために候補者を選定して当選させる。議会でそうした候補者が多数派を形成して権力を握り、政策を実現させていく」

 この点で、「日本には共産党などを除くと政党らしい政党は事実上ない」とのべています。

■基盤が解けた

 なぜいま、“政党らしさ”“本来の政党”が問題になるのか。

 野田首相への問責決議案が可決された8月29日。テレビ朝日系の「報道ステーション」で、三浦俊章「朝日」編集委員は「『維新の会』、第三極いろいろ動いている」とのべつつ、選挙互助会のような議員集団や政党を渡り歩く議員たちとの連携で、「維新の会」が“神経戦”を繰り広げていると指摘。「小泉(純一郎元首相)さんのときのような劇場型政治がもっとひどくなるのではないか。それは政党政治の基盤が解けてしまっている(からだ)と思う」とのべました。

 7月15日のNHK「日曜討論」では、前出の片山氏が「二大政党はどっちかというと現職議員のクラブ」「政党の体をなしていない」「いろんな(政治)塾が立ち上がるけど、結局、既成政党と同じ事をやっている」と批判し、「本来の政党をつくろうという動きがあってもいい」と問題提起。司会の島田敏男NHK解説委員は、「“自前で組織を”と政党助成金を拒否している共産党はまさにそういう組織論を主張している」と応じ、「政党が足腰をきたえること」が今後の政党の課題だという議論が、出席者の間で交わされました。

 党利党略、個利個略に明け暮れ、国民、有権者から遊離して「浮き草」化してしまった政党や政治家。そんななかで、自前の「草の根」の組織を持ち、「草の根」の国民の声を国政につなげようとまっとうに努力する日本共産党の姿が「本来の政党」「政党らしい政党」の姿として注目されているのです。


いまなぜ「本来の政党」か

 「政党らしい政党」「本来の政党」が問題にされる背景には、国民への背信と党略に明け暮れる「二大政党」や選挙目当てで離合集散をくり返す政治勢力や政治家への国民的な批判と不信があります。政党状況はいまどうなっているのか――。(政党・政局取材班)

二大政党

国民への背信と党略

民自で非難の応酬/想定外の大量造反/民主議員「選択の幅狭い」

 「(自民党の賛成は)節操のない暴挙であり、3党合意を反故(ほご)にするもの」(民主党・武内則男議員)、「小細工的な批判は、ただ一言、『ちゃんちゃらおかしい』」(自民党・谷垣禎一総裁)

 8月29日の参院本会議で可決された野田首相問責決議をめぐり、民主・自民・公明の増税連合のあいだで醜い非難合戦が繰り広げられています。

 民主党は3年間で自らの公約をことごとく破り、仕上げには消費税増税を強行したものの、参議院から「ノー」の審判を下されました。それでも、「選挙をすれば民主党は消滅する」(政調幹部)と解散・総選挙の先送りを画策。成立の見通しもない選挙制度改悪法案を暴挙を重ね衆院を通過させました。

 自民党は当初、「民主党政権は、マニフェスト違反の消費税率引き上げを行う権限を主権者からは与えられていない」(谷垣総裁の代表質問、1月26日)として、解散を求めていました。ところが、「与野党が胸襟を開いて、一刻も早く合意形成に至ることを望む」(米倉弘昌経団連会長コメント)という財界の圧力に屈して、民主・自民・公明の「3党合意」路線に転換しました。

 最終局面で、解散に追い込むとの党略から増税仲間に問責決議案を提出するという茶番を演じようとし、日本共産党など野党7党提出の問責決議案(3党合意を断罪するもの)に賛成することになったのです。

 一方、公明党は問責の採決時に退席することで、「(消費税増税で)最大の功労者は公明党」(公明新聞8月18日付)と自慢する“増税戦犯”の正体をみずからさらけ出しました。

 こうした党略ぶりが「政党不信」「政治不信」を招いている最大の要因です。

 国民世論から乖離(かいり)した「二大政党」は崩壊しつつあります。

 6月26日に消費税増税法案の衆院採決を強行すると、民主党から小沢一郎元代表ら57人の「反対」を含む71人が造反。小沢グループにとどまらない大量造反、参院からも離党者が出るという「想定外」の状況となり、党執行部に激震が走りました。

 民主党内からは、「政権交代しても、霞が関や、財界の許す範囲のことしかできないなら、政策の選択の幅は狭く、二大政党制は機能しない」という声が出ました。

新党・維新

選挙目当ての「互助会」

既存の政治家との連携探る「維新」/基準は選挙に勝てるかどうか

 国民の「政党不信」「政治不信」のもう一つの要因は、解散・総選挙が迫るなか、選挙目当ての離合集散が繰り広げられていることです。

 マスメディアが盛んに「第三極」と持ち上げる、橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」。「『維新』に国民の応援があるとすれば、既存の政治家が『ノー』といえなかったところに、『ダメなものはダメ』といいつづけてきた(こと)」(橋下氏、8月30日)といいながら、実際にやっているのは、古い政治にどっぷりつかった「既存の政治家」との連携を模索することです。

 いったんは「維新」側から新党の党首を打診されたと報じられた安倍晋三元首相は、「憲法96条(改定)では完全に一致している」「彼ら(大阪維新の会)が発信すると国民的な話題になる」と改憲でエールを送ります。橋下氏も「安倍さんと共通するのは教育、憲法観」(同前)と認めます。

 「維新の会」が9日に予定している公開討論会には、民主党の松野頼久元官房副長官、自民党の松浪健太衆院議員、みんなの党の小熊慎司参院議員らが参加予定。自民党の中川秀直元幹事長の合流もとりざたされています。東国原英夫元宮崎県知事、中田宏元横浜市長、山田宏元杉並区長など、首長として失敗した面々も含まれています。

 選挙で勝ち馬に乗ろうと寄り集まってきた、究極の選挙互助会です。

 「維新の会」の動きは、他の国政野党などにも影響を与えています。いずれも「総選挙に勝ち残る」ことだけを基準に動いているからです。

 みんなの党は、渡辺喜美代表と橋下氏らの会談で合流話が破綻。小熊氏ら参院議員3人の離党も報じられるなど、分裂の危機にひんしています。

 民主党や自民党から分かれた政党などとの連携を図る、小沢一郎氏の「国民の生活が第一」の行動にも影響を与えています。同党の山岡賢次代表代行は、社民党、新党きづな、新党大地・真民主、「減税日本」の幹部らと議員グループ「国民連合」の設立準備会を開きました(8月27日)。しかし、最もあてにしていた「維新の会」参加の見通しは得られていないとされています。

 こうした連携工作や離合集散がくり返されるのは、いずれの党も国民に根をもたず、有権者から遊離しているからです。いま、総選挙で民自公増税連合に審判を下すとともに、政治を根本から変えるたしかな力はどこか、国民の願いにこたえる政党らしい政党はどこかが問われています。


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