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2012年9月1日(土)

主張

防災の日

「人災」拡大しない政治の責任

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 きょうは「防災の日」です。10万人以上が犠牲となった89年前(1923年)の関東大震災発生の日にあたり災害に備える認識を深める取り組みが各地で行われます。東日本大震災と福島原発事故からも間もなく1年半です。多くの住民が故郷を追われ、避難生活がいまも続く事態の改善が急がれます。日本は地震、津波、台風などが相次ぐ「災害多発国」です。国民の生命と財産を守るという防災の原点を貫く政治の役割がますます求められます。

つねに「最悪」に備えて

 静岡県の駿河湾から九州の太平洋沖の深海にのびる海溝「南海トラフ」を震源とするマグニチュード(M)9・1の巨大地震が起きた場合、最悪で32万3千人が犠牲になる―。内閣府が新たな地震の被害想定を発表しました。

 犠牲者が出る地域は茨城から沖縄まで30都府県という広範囲に及び、その約7割は津波で犠牲になるとしました。震度7の揺れが10県を襲い、238万戸以上が全壊・焼失するとしています。

 従来の犠牲者数を13倍も上回る想定をしたのは、M9級の巨大地震を「想定外」として備えを欠き甚大な被害を生んだ東日本大震災の反省を踏まえたためです。

 注目すべきは被害想定の大きさではなく、手だてを尽くせば被害を少なくできることを明確にしていることです。

 つねに「最悪」を想定し、「命を守ることを最優先」にすることを防災の鉄則にすべきです。国、地方自治体、住民のレベルで、地域の状況をつかみ、避難体制の整備などを点検し、改善する日常的な取り組みが急がれます。

 公表された被害想定では、津波から避難する時間を短縮したり、避難ビルを使ったりすれば犠牲者は23万人から4・6万人へ減らせるとしました。建物の耐震化率を100%にして家具の転倒防止策などを講じれば8・2万人から1・5万人に、初期消火などを徹底すれば火災による犠牲者も1万人から300人に大きく減らせることも明らかにしています。

 これらを本気で実現するには、住民の意識まかせにしたり、地域の取り組みにまかせたりするだけでは前進しません。「早く逃げる」ことが困難な子ども、高齢者、障害者などをどのように早く避難できるようにするのかなど行政の責任ある対策が求められます。

 住宅の耐震化・不燃化を促進させるための公的補助の拡充も必要です。倒壊家屋からの発火を防ぐ感震ブレーカーなどの設置をすすめる施策も重要です。津波が地震発生から短時間で到達すると予想される地域では高台への集団移転なども検討されていますが国の支援などが不可欠です。

「原発ゼロ」へ転換を

 「最悪」の被害を想定しながら、それに備えが間に合わず防げないという「人災」を引き起こすことは絶対に許されません。

 日本列島が地震の活動期に入ってきたというのが多くの研究者の指摘です。世界有数の地震国であり、火山も多い日本での原発の存在が安全と相いれないことは明らかです。「原発ゼロ」への転換が急務です。災害被害を拡大する地域の乱開発などは根本的な見直しが求められます。住民の生命と財産を守る「災害に強い地域と国土づくり」を進めることが急がれます。


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