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2012年8月30日(木)

オランダ総選挙

緊縮反対派、第1党の勢い

国民の48%「経済が悪化」

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 オランダは9月12日に総選挙(下院=定数150、比例代表制、任期4年)を実施します。財政緊縮に反対する野党第2党の社会党(SP)が、ルッテ首相率いる緊縮派の自民党(VVD)と議席第1党の座を争っています。社会党が政権をうかがうのは同党40年の歴史で初めてです。 (ロンドン=小玉純一)


 最近の各種世論調査によると、両党とも支持率20%強で予測議席数が30台です。自民党は前回2010年総選挙とほぼ同じ。社会党は得票率10%弱の15議席の前回から倍増する勢いを示しています。

“愚かな緊縮”

 社会党のルーマー党首は「危機の時代に必要なのは経済刺激策であって愚かな緊縮ではない」と訴え。また欧州連合(EU)首脳会議が決めた新たな財政規律強化の協定批准に関し国民投票を要求しています。同協定は加盟国が財政赤字に関する基準を守れなかった場合に自動的制裁を発動することなどを盛り込んでいます。

 19日発表の世論調査では国民の48%が「緊縮策で経済が悪化する」と答えています。

 支持を伸ばす社会党は富裕層への増税を主張。経済誌のクォーテは「社会党が政権入りすれば富裕層がスイスへ逃げる」「ストップ社会党」といった宣伝を始めました。

 ルッテ政権は、自民党とキリスト教民主勢力(CDA)による少数連立政権で、極右・自由党(PVV)の閣外協力でかろうじて過半数を保っていました。今回の総選挙は、歳出削減をめぐる交渉で自由党の協力を失い、4月に行き詰まったことによるものです。

 ルッテ政権は財政赤字を拡大したユーロ圏の南欧諸国に厳しい緊縮を求めてきました。そのオランダの財政赤字は昨年GDP比4・7%。ルッテ政権は同3%以内とするEUの財政規律順守のため、少数野党を取り込み、教育、福祉、軍事などの歳出削減策を押し通しました。

欧州各国注目

 選挙後の連立協議は第1党が主導することになります。社会党は中道左派の労働党や環境政党のグリーン・レフトなどと連携した政権樹立をめざしています。ただしこれまでの世論調査では、この3党では過半数議席に届かず、また、現与党勢力も過半数議席に届かない情勢。選挙後の連立の行方は不透明です。

 ルッテ政権はフィンランドなどと並びドイツのメルケル政権の財政規律優先に同調してきました。オランダで社会党首班政権ができればユーロ圏の危機対応にも影響を与えるとして、欧州各国、各界の注目を集めています。


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