2012年8月24日(金)
シリア首都最大爆撃
政府軍全土で 2日間400人死亡
【カイロ=小泉大介】内戦状態にあるシリアでは政府軍の攻撃がとどまるところを知らず、22日には首都ダマスカス郊外に過去最大規模の爆撃を加え、多数が死亡しました。全土でも攻撃が激化しており、英国に拠点を置く「シリア人権監視団」などによると、21、22両日で約400人が死亡しています。
政府軍は22日、ダマスカス南部で多数の戦車や軍用ヘリコプターを動員し、反政府武装勢力の一掃を狙った大規模攻撃を実施。ロイター通信が反政府活動家の話として伝えたところによると、首都だけでこの日、47人が死亡しました。
20日に日本人女性ジャーナリストが殺害された北部の主要都市アレッポでも22日、政府軍の戦闘機や戦車による爆撃が断続的に行われました。市民生活の状況も極めて懸念される事態となっています。
シリアのジャミル副首相は21日、モスクワで行った会見で反政府勢力に対話を呼び掛け、そこでは「あらゆる問題が議論される」と、アサド大統領退陣もテーマになるとの認識を示しました。しかし、それ以後も激しさを増す政府軍の攻撃は、この呼び掛けの真意に根本的疑問を投げかけるものとなっています。
反政府主要組織「シリア国民評議会」のガリユン前議長は22日、ジャミル氏の発言について「もし真剣に対話を求めているのであれば、攻撃を止めているはずだ。しかし実際は大量虐殺を継続している」と批判しました。
事態のいっそうの悪化を受け、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は同日、今月末にイランの首都テヘランで開催される非同盟諸国首脳会議に出席し、シリア問題を協議したいとの意向を示しました。シリアと「同盟」関係にあるイランでの話し合いの行方が注目されます。