「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年8月23日(木)

ソマリア新議会発足

大統領選出は9月以降

汚職や武装勢力なお

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 全土を実効支配する政府がない状態が20年以上続くソマリアの首都モガディシオで20日、正式政府成立に向けた新議会の就任宣誓式が行われました。しかし、議員選出が順調に進まず、新議会は定数を満たしておらず、大統領選出も9月以降に見送られました。氏族といわれる血族集団に社会が分断され、政治指導者の間に汚職や不正がはびこっていることが、イスラム強硬派武装勢力の活動とともに、ソマリアの秩序回復の障害となっています。(夏目雅至)


 同国では1991年に内戦が勃発。2度にわたる国連平和維持活動が失敗した後、2005年に政治勢力が糾合した暫定政府が隣国ケニアで樹立されました。

 暫定政府はアフリカ連合(AU)の平和維持部隊の支援を受け、国内に拠点を移しますが、支配地域の拡大はイスラム勢力に阻まれました。現在も国際テロ組織アルカイダとも関係するイスラム強硬派組織アッシャバーブが南西部を支配しています。

 この中で、昨年には飢饉(ききん)が各地に拡大。緊急人道援助を必要とする人々は総人口約940万人のうち370万人。世界の海運を脅かすソマリア沖での海賊行為も横行するという無秩序状態が続いています。

 暫定政府の権限は今年8月20日までとされ、それまでの総選挙が予定されていましたが、実施のめどが立ちませんでした。

 国連やAUからの圧力を受け、ソマリア政治勢力間の協議が行われ、8月1日には暫定憲法を採択。新議会は同憲法に基づいて選出されました。選出方法は、各氏族長老が提出した推薦名簿を、アハメド暫定大統領らが選任した委員会が審査するというもの。選出過程で脅迫や妨害が続いたことで、定数275のうち215人しか選出されないままとなりました。

 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は20日、新議会発足を「平和と和解の過程の重要な一里塚」と評価する声明を発表しました。

 しかし、新大統領有力候補の一人は穏健イスラム教徒出身のアハメド暫定大統領。国連は7月、同大統領が就任した09年から10年までの間に「外国からの資金の7割が横領された」との報告を公表したばかり。研究機関「国際危機グループ」の専門家も、新議会の下で「基本的に同じような状況が続くだろう」と警告しています。


 ソマリア アフリカ東部の「アフリカの角」を構成する国。面積63万8000平方キロ(日本の約1・8倍)。1960年に北部が英国、南部がイタリアの保護領からそれぞれ独立し、統合しました。バナナを中心とする農業、ラクダ、羊、ヤギなどの牧畜業が経済の中心でしたが、内戦で経済は破綻しています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって