2012年8月9日(木)
生活保護 恥じゃない
働きたくても働けない 当事者抜きで制度変えるな
受給者ら唱和、都内をデモ
「生活保護は恥じゃないぞ。みんなまじめに生きてるぞ」――。野田内閣が生活保護制度改悪を進めようとするなか、東京都内で8日、「いのちをつなぐ生活保護は恥じゃない!デモ」が行われ、生活保護利用者ら100人以上が、「当事者の声を聞いて」と訴えました。首都圏生活保護利用者有志が呼びかけたものです。
|
参加者は「誰もが困ったときに使えるのが生活保護」「価値のない命はありません」と書いた手作りのプラカードを手に、「当事者抜きで制度を変えるな」と厚労省など省庁に向けて唱和しながら歩きました。
バッシングに怒り
視覚障害者の男性(53)は東京都北区で、はり・きゅうの店を営んでいます。
「障害者が働ける場、仕事は限られているのが現状。障害基礎年金だけでは食べていけず、生活保護を受給している仲間が多い。今日はそんな仲間の代表のつもりでデモに来ました。芸人の事件を利用した受給者へのバッシングは許せない。障害者が自立して生活していくための糧が奪われてしまう」と話します。
「生保改悪NOだ!」と書いたプラカードを掲げていた男性(49)=東京都武蔵野市=は「精神障害があり、働きたくても働けず生活保護を受けています。今の支給額だけでもぎりぎりの生活なのに、これ以上改悪されたら死活問題だ」と話し、政府やメディアが不正受給のことばかり強調することに怒ります。
私たちの命つなぐ
精神疾患を患ったことがもとで生活保護を受給している女性(33)は「以前、受給していた生活保護をやめて働きましたが、体を壊して、また受けています。一度目の時は『何もしていないのに』と申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、生活保護利用者の団体で生活保護のことを学び、生活保護は憲法によって保障された権利、私たちの命をつなぎ、生活を支えるためにある制度だとわかりました。今日はたくさんの人と歩けてうれしい」と語りました。
「生活保護は恥じゃない」とシュプレヒコールを一緒に口ずさみながらデモを見つめていた会社員の男性(44)=東京都中野区=は「生活保護バッシングは感情的すぎて利用者の実態を見て議論していない。セーフティーネットが生活保護しかない中で、弱者をたたいて留飲を下げるのは危険だと思います」と話し、デモに加わりました。