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2012年8月8日(水)

シリア 首相離反

政権に打撃も 戦闘激化・市民犠牲増える恐れ

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 【カイロ=小泉大介】内戦状態にあるシリアのヒジャブ首相が6日、政権による市民大量虐殺に抗議し離反、隣国ヨルダンに出国しました。これまでの最高位の離反として政権にとって大きな打撃となったとみられますが、政府軍と反政府武装勢力との戦闘は止まる気配を見せておらず、情勢は予断を許さぬ重大な局面がつづいています。


 中東の衛星テレビ・アルジャジーラは6日、ヒジャブ首相が声明で、「私は今日から神聖な革命の兵士となる」と表明したと伝えました。首相報道官は同テレビに対し、ヒジャブ氏が今年6月にアサド大統領から首相に抜てきされた直後から離反を計画していたことを明らかにし、「離反は政権に対し重大な影響を与えるだろう」と述べました。

 主要な反政府組織「シリア国民評議会」のシダ議長も首相離反を受け、「これは政権が崩壊しつつあることを示すものだ。政権の終わりの始まりだ」とし、反体制派にとって大きな追い風になるとの認識を示しました。

 一方、アサド政権側は首相は離反ではなく解任だとの立場を強調し、すぐさまガラワンジ副首相を暫定首相に指名しました。アサド大統領の出身基盤であり、大統領周辺と軍部の中枢を牛耳るイスラム教アラウィ派の支配体制にとって、同スンニ派のヒジャブ首相の離反は直接の打撃となるものではないとの見方も出ています。

 この間、政府軍は首都ダマスカスと第2の都市アレッポを中心に、激しい反政府武装勢力掃討作戦に乗り出しています。とくにアレッポでは現在、政府軍が2万人の兵士を展開させ、いつでも最大規模の地上戦を開始できる態勢を整えているとされます。

 シリアではすでに連日100人を超える犠牲者が出ていますが、政府軍が今回の首相離反を機に一気に攻勢を強める可能性もあり、市民の犠牲増が深刻に懸念される状況となっています。

 シリアで活動する国連停戦監視団のガイエ団長は6日に声明を発表し、政府軍と反政府武装勢力双方に対し、「国際人道法の義務を尊重し、民間人を保護しなければならない。民間人が砲撃にさらされることがあってはならない」と訴えました。


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