2012年8月5日(日)
アサド政権は暴力やめよ
国連総会がシリア非難決議
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【ワシントン=小林俊哉】国連総会は3日、シリア情勢をめぐり、アサド政権による重火器の使用を非難し、すべての当事者に暴力の即時停止を求める決議を賛成133、反対12、棄権31の賛成多数で採択しました。同決議はサウジアラビアが作成。安保理でシリア制裁に拒否権を発動したロシア、中国は今回も反対しました。
同決議は「シリア当局による重火器の使用の増加、戦車やヘリコプターからの無差別銃撃」を非難。「暴力の停止に向けた最初の一歩はシリア当局によってなされるべきだ」とし、停戦に応じないアサド政権を批判しています。
また、「(打開に向けた)措置で合意できない安保理の失敗は遺憾だ」とも指摘しました。
同決議に法的拘束力はありませんが、安保理で欧米とロシア・中国の溝が埋まらない中、国際社会の多数の意思を示した格好です。
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は同日の総会で、暴力の即時停止に向け、アサド政権は責任を果たすべきだと強調。同時に、安保理での意見対立を遺憾とし、「シリアでの紛争は、この組織の存在意義を試している。国連がこの試験に落第することは願わない」と述べ、事態打開に向け、国際社会の連携を求めました。
決議に反対したロシアの代表は、「この決議はレトリック(表現技法)の裏にシリアの反体制派支持(という真意)を隠している」として、「シリア国民自身による解決を損なう」と述べました。