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2012年7月31日(火)

米、兵器国外売却を拡大

国務省・国防総省が率先

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 【ワシントン=小林俊哉】オバマ米政権が、外国への兵器売却を拡大しています。輸出増で経済回復を目指すという同政権の方針の一環。米政府高官は、米国の軍用装備に対する海外需要はかつてなく高いと述べています。


 米国務省のシャピロ国務次官補(政治軍事関係)は26日、ワシントン市内で開かれた軍事貿易関係の会合で、「今年度の有償軍事援助(FMS)は過去最高額となった。500億ドル(約4兆円)を超え、最低でも昨年度から200億ドルの増加だ」と強調しました。

 FMSは、米国が適格と判断した同盟国やパートナー国に対し、一定の条件で装備品を売却するものです。「2国間の防衛関係を強化し、米軍と外国軍との相互運用性を強化する」ものと説明される一方、「防衛産業基盤の高度に熟練された職を維持することなどで、米国の繁栄に寄与する」(国防総省安全保障協力局)といわれます。

 国務省によると、FMSは4年連続で300億ドルを上回っています。外国政府が米国企業から直接兵器を購入する直接商業売却(DCS)も、昨年は認可された金額が443億ドルに上りました。

新興国を重視

 従来の同盟国に加え、米国が重視しているのはインド、ブラジルといった新興国です。最近では、シャピロ次官補自身がフィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナムなどを歴訪し、「防衛対話」を深めています。

 国防総省も、武器売り込みに熱心です。カーター副長官は最近のアジア歴訪でも、各国と防衛協力を協議。インドでは、同国の防衛産業界との会合を持ち、「インドは最良の軍用装備を持つに値する国だ」(23日)と持ち上げました。同国に対する軍事売却は、この10年間で「ほとんどゼロから80億ドルにまで上昇した」(国務省)といいます。

産業保全に熱

 オバマ政権は、軍事費の抑制を唱える一方、軍需産業の保全には熱心です。米メディアによると、「輸出倍増」政策を掲げるオバマ政権は現在、兵器輸出についても、輸出規制の緩和を省庁横断的に検討中です。カーター副長官はインドで、関連規制をインド側の要請にも応えて見直していると表明しています。

 兵器売却は、米国の安保戦略とも一体です。シャピロ氏は「ある国が、米国の進んだ防衛システムを買うという場合、それは単なる製品の購入ではなく、彼らが米国とのパートナーシップを求めているということだ」と主張。複雑な技術を使った最新兵器を維持するため、購入国は米国との日常的なつながりを求められるとして、「防衛協力は、2国間の結びつきの形成を助け、購入国には、米国との良好な関係を維持しようとの強いインセンティブ(動機付け)が働く」と“効用”を語っています。


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