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2012年7月30日(月)

政府軍が本格攻撃

シリアの第2都市 民間犠牲者激増の恐れ

昨年3月以降 死者2万人超に

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 【カイロ=小泉大介】内戦状態が悪化の一途をたどるシリアで28日、政府軍が反政府武装勢力掃討を名目に、第2の都市・北部アレッポに対する本格攻撃を開始しました。反政府武装勢力が攻勢を強め、アサド政権離反者も相次ぐ中、一気に形勢を有利にするための攻撃とみられますが、人口約250万人の大都市で民間人犠牲者の激増が深刻に懸念される事態となっています。

 アレッポ在住の人権活動家の一人は28日、本紙の電話取材に対し、「政府軍はサラハディン地区を包囲し、戦車やヘリコプターから無差別爆撃を行っている。(反政府武装組織の)『自由シリア軍』も激しく応戦している。戦闘により住民は水も食料も手に入らない状況になっており、街を脱出する人々が相次いでいる」と証言しました。

 ロイター通信は攻撃はアレッポ各地で発生したとし、オートバイで家族とトルコ国境に逃れる男性の「われわれはヘリが空爆し、煙が立ち上る戦争地帯のアレッポから脱出した」との声を伝えました。英国に拠点を置く「シリア人権監視団」はこの日、アレッポで数千人の住民が路上で砲撃から逃げ惑ったと政府を告発するとともに、少なくとも29人が死亡したと発表しました。

 アサド政権側は今回の本格攻撃について「テロリストとその協力者に対するものだ」としています。一方、主要な反政府組織「シリア国民評議会」のシダ議長は28日の会見で、「大統領は大虐殺の罪で裁判にかけられなければならない」と強調しました。

 シリアではアレッポ以外でも全土で政府軍と反政府武装勢力との激しい戦闘が続いており、連日、100人を超える死者が出ているとされます。「人権監視団」は28日、昨年3月に政府軍による住民弾圧が開始されて以降の死者は2万人を超えたと発表しました。

 アラブ連盟(22カ国・機構)は28日の声明で、シリア政府の抑圧政策と住民に対する重火器使用に対し「極度の不満」を表明。国連総会に対し、さらなる経済制裁実施と住民保護を目的とした決議案を提出する準備を進めているとしました。

 シリアでの暴力停止を目指すアナン国連・アラブ連盟特使は、同日発表した声明で、「差し迫った戦闘を見越して、アレッポ周辺へ軍や重火器が集められているという報道について懸念を表明する」と述べました。


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