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2012年7月20日(金)

主張

原発意見聴取会

“三者択一”は国民欺くためか

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 将来の原発比率など今後のエネルギー政策についての政府主催の意見聴取会で、電力会社の幹部らが出席し、発言したことが問題になっています。仙台市の意見聴取会(15日)では東北電力の意見であることを明言して幹部が推進の意見をのべ、名古屋市の意見聴取会(16日)では「個人」と断りながら中部電力の社員が「放射能の影響でなくなった人はいない」などと発言して批判を受けました。

 東京電力福島原発の事故があってもなお推進を声高に叫ぶ「原子力ムラ」の反省のなさは深刻の極みですが、こうした意見聴取会を主催する政府の責任は重大です。

国民世論反映していない

 古川元久国家戦略担当相はあわてて、電力会社の社員などの出席は除外することや発言者を増やすことなどを打ち出しました。しかし、もともとこの意見聴取会は、2030年時点の原発の比率として「0%」、「15%」、「20〜25%」の3案を示し、それぞれの案に賛成する3人ずつに発言させるというやり方です。発言者の比率が世論を反映しているわけでもなく、開催場所も電力会社の所在地などに偏り、時間も短く、傍聴者の質疑も認めない不当なものです。

 実際これまで意見聴取会が開催された、さいたま市(14日)、仙台市、名古屋市で見ても、意見表明の希望者は「0%」支持が3市合計で311人、「15%」支持が62人、「20〜25%」支持が90人なのに、いずれも各会場で3人ずつしか発言できていません。発言できた割合は「0%」支持が最も少なく逆に「15%」や「20〜25%」支持の場合は開催地の地元だけでは発言者が足りず、首都圏などからの希望者で穴埋めするありさまです。

 意見聴取会は、国民からのパブリックコメント(意見公募)や、議論とアンケートを組み合わせた「討論型世論調査」と並び、政府が新しいエネルギー政策決定の売り物としているものです。パブリックコメントの募集も期間が短いなどの問題点が指摘されました。意見聴取会もこうしたありさまでは、世論を踏まえた公正な政策決定とはとてもいえません。

 だいたい、あらかじめ政府が原発の比率を「0%」「15%」「20〜25%」の3案を示し、それに意見を聞くというやり方が不公正です。老朽化した原発を順次廃止するだけでも原発依存は10%以下になるといわれるのに、「20〜25%」を目標にするのはもちろん「15%」というのも、原発の新増設を続けることにしかなりません。3案について意見を聞くだけでは、本来検討すべき、原発依存を続けるべきかどうかについての肝心の議論のためには、むしろ有害です。

再稼働中止し撤退決断を

 結局のところ政府のやり方は、原発依存度を「0%」にするという目標は形だけで、原発依存を高めに誘導するためだといわれても仕方がないものです。東電福島原発事故の原因究明が終わらず、安全対策などの議論も尽くされていないのに、関西電力大飯原発3、4号機などの再稼働を急ぐのと共通した態度です。

 原発事故による取り返しのつかない事態を前に多くの国民はいま原発からどうすれば脱却できるかを真剣に模索しています。政府に求められるのはまず自ら撤退を決断することであり、そのための国民的議論をこそつくすべきです。


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