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2012年7月16日(月)

紙智子参院議員に聞く

TPPは経済全体が被害

参加阻止へ 世論広げよう

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 緊迫する環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題について日本共産党の紙智子参院議員・農林・漁民局長に聞きました。


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 ―日本がTPPに参加すれば、どんな被害が予想されますか。

 TPPの原則は関税と非関税障壁の撤廃です。関税がゼロになれば、農林漁業が最も大きな打撃を受け、国土と環境保全も脅かされます。農業関連の業界が影響を受けます。工業製品も安売り競争になり、雇用を減らしたり、賃下げをすることにならざるをえません。経済全体が厳しくなります。

 非関税障壁では、食品添加物、遺伝子組み換え食品の表示など今まであった食の安全のための規制を撤廃、緩和せよということになります。

 医療の分野でも、政府は国民皆保険制度を守ると言いますが、保険を使わない医療の比率を増やせば、公的医療保険で診療する範囲が狭まり、限られた医療しか受けられなくなり、制度が形骸化してしまいます。

 ほかにも金融、保険、公共事業、労働などあらゆる分野で米国型の弱肉強食のルールを押し付けることが予想されます。

●譲歩迫る米国

 ―米国は交渉参加にあたって日本に自国業界や大企業の要求をのませようとしています。

 BSE(牛海綿状脳症)対策として、日本が輸入を認めている牛肉の月齢を20カ月以下に規制していますが、米国は30カ月以下にせよと要求しています。保険では日本郵政の簡保が自由な競争を阻害すると主張しています。自動車分野で米国は安全基準、税制、エコカー補助金、排気基準、代理店制度、軽自動車の規格などを非関税障壁に挙げ、日本に譲歩を迫っています。

 ―9カ国によるTPP交渉は今どのような状況にあると考えられますか。

 徹底した秘密交渉なのでなかなか中身はつかめませんが、市民団体が入手した資料などで垣間見えてきたものがあります。多国籍企業に都合のいいルールを押し付ける米国の姿です。交渉参加国の間でも対立や矛盾が出ています。知的財産権の分野では、米国の医薬品の特許の保護を強める提案をめぐって、オーストラリア、ニュージーランドなど薬価の高騰を避けたい国と米国との対立が大きくなっています。

 米国が民間企業と同列の競争条件を国有企業にも求めるため、ベトナムやシンガポールとの対立が大きくなっていることも伝えられています。

 米国の市民団体が入手した「投資家対国家の紛争解決(ISDS)」制度の合意文書案を見ると、従来と比べても多国籍企業の権利を拡大して各国政府の権限を制限する中身になっています。

 こうしたことが明らかになるにつれ、米国の市民社会でも反発が広がり、5月には米国やオーストラリアなどの法律家ら100人がISDS条項の導入に反対する書簡をまとめ、交渉参加国に送りました。米国内でも秘密交渉に対する批判が出ています。

●幅広い共同を

 ―TPP参加を断念させるために何が必要でしょうか。

 TPPの本質と危険性、繰り返される推進論への批判を、農林漁業団体の構成員をはじめ消費者や労働者など幅広い層の中に広く知らせ、反対の世論を国民大多数のものにしていくことが決定的です。これまで大きく広がってきたTPP交渉参加に反対する共同をもっと大きくすることです。世論調査では五分五分と言われてきましたが、これを7、8割が反対するまで広げていくことです。特に都市部での宣伝を重視し、TPP反対の一点での共闘を県段階、地域段階で広げることに力を尽くす必要があります。

 最終的な決着が国会での批准となる可能性も大きい中で、国会の中でも反対の動きを引き続きつくっていかなければなりません。そのためにも国民世論が非常に大事です。議員の地元でも働きかける。今後行われる選挙の争点にして、TPP参加への賛否を候補者に問いかけていかなければなりません。

 日本共産党はTPP参加反対を全国的取り組みにするために論戦と運動で大きな役割を果たしてきました。TPP参加問題の根源には米国、財界言いなりの政治があります。これをおおもとから変えるため今後も力を尽くしていきます。

 (聞き手 山田俊英)

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