2012年7月13日(金)
シリア 大使が政権を離反
駐イラクのファレス氏 外交官で初
【カイロ=小泉大介】中東の衛星テレビ・アルジャジーラは11日、シリアのナワフ・ファレス駐イラク大使が政府軍による住民弾圧に抗議しアサド政権を離反したと報じました。シリアではこれまで軍幹部や兵士の離反は相次いできましたが、大使級の外交官は初めて。政権にとって大きな打撃となると見られます。
ファレス氏はアルジャジーラに対し、「私は駐イラク大使を辞任し、(アサド大統領率いる)バース党を離党した」「すべての誠実な党員が私と同じ道を選択するよう訴える。なぜなら政権は人民を殺害し、自由への希望と尊厳を破壊するための道具に変えてしまったからだ」と声明しました。
ファレス大使は、政府軍が激しい住民弾圧を加えている東部デリゾールの出身で、2008年9月から駐イラク大使を務めてきました。主要な反政府組織「シリア国民評議会」メンバーのモハメド・セルミニ氏はロイター通信に対し、「ファレス氏の離反は相次ぐ外交官の離反の始まりにすぎない。われわれは複数の大使と連絡を取り合っている」と述べました。
シリアでは先週、政府軍の精鋭部隊である共和国防衛隊のマナフ・トラス司令官が離反し、フランスに亡命したばかり。同司令官の父はアサド大統領の父親の政権下で長年にわたり国防相を務め、トラス氏自身も現大統領の側近として知られていました。同国では昨年3月に政府軍の住民弾圧が始まって以降、数万人規模の兵士が離反したとされます。