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2012年6月30日(土)

消費税、原発から総選挙まで

RKB毎日放送 志位委員長のインタビュー

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 日本共産党の志位和夫委員長が28日、RKB毎日放送(福岡市)の「中西一清スタミナラジオ」の電話インタビューで答えた内容を紹介します。


消費税増税反対の理由は

 中西 共産党は一貫して消費税に反対していらっしゃいますよね。その反対の理由はどこでしょうか。

 志位 こんどの消費税の大増税というのは、デフレという状態が10年以上続いているという、世界でも日本しかないという異常な大不況のもとで、国民の所得を大きく奪うということになりますと、まず暮らしと経済をどん底に突き落としてしまう。そうしますと、消費税を増税しても、全体の税収は減って、結局は財政危機をひどくしてしまう。さらに、いま貧困と格差という問題が、「働く貧困層」といわれる方々が1千万人を超えて広がり、大問題になっていますが、追い打ちをかける。いろいろな意味で害悪が明瞭ですから、やめるべきだと強く主張してまいりました。

 中西 しかし、安定的な社会保障のためには財源が必要だという理屈もなんとなく納得がいくのですが。

 志位 1997年に消費税を5%にあげたことがありましたでしょう。あのときは合計9兆円の負担増をやったわけですが、あれでかえって税収は減ったのです。大不況になり、そのうえ大金持ちや大企業への減税ばらまきをやった。その結果、年間の税収がだいたい90兆円あったのが、いま76兆円しかないんですよ。ですから消費税を増税しても、「安定財源」にならないんですよ。

税金のありかたの不公平ただせ

 志位 私たちは、財源というんだったら、無駄遣いを一掃するとともに、富裕層と大企業に応分の負担をといっています。

 富裕層については、サラリーマンより大金持ちの方が、所得税の負担率が低いという問題があるんですよ。所得1億円を超えますと、どんどん負担率が低くなる。所得1億円で所得税の負担率26%、100億円の方14%。

 中西 あら。

 志位 所得の最高税率をどんどん下げてきましたでしょう。それから株でもうけたお金にかかる税は10%と、すごく低いわけですね。そのために逆累進になっている。富裕層にはちゃんと税金を払ってもらう。

 それからもう一つ。中小企業より大企業が法人税の実質負担率が低いという問題があるんです。法人税率は国税で30%ですけども、中小企業の場合ですね、軽減税率が一部入っている企業でも、26%くらい払っている。ところが資本金10億円以上の大企業を計算してみますと19%くらいしか払っていない。

 中西 ほーっ。

 志位 これは、研究開発減税、連結納税制度などの、大企業むけのいろいろな優遇税制があるためです。大企業の法人税の負担率が中小企業より低いというのは、これはおかしいですから。

 中西 ですよね。なかにはずっと法人税を払っていない大企業もあるやにきいていますが。

 志位 そうですね。税というのは、私たちは応能負担といいますけど、「負担能力に応じた負担」というのが民主的な原則だと考えておりまして、まずは富裕層や大企業に応分の負担を求める。とくに、いまいったような逆転の不公平はただそうではないかと主張しています。

原発・エネルギーをどうするか

 中西 エネルギー問題ですが、日本のエネルギーの将来の形はどう考えてらっしゃいますか。

 志位 私たちは、原発はなくすべきであり、自然エネルギーに大きく転換していくべきだと、そして、低エネルギー社会にしていく、エネルギー浪費型の社会を変えていく、こういう方向をとるべきだと思っています。

 中西 その「自然エネルギーにしていく」というのは、言葉で言うのは簡単なんですが、非常に難しいですよね。

 志位 ただ日本の自然エネルギーの潜在力は、世界でも有数なんです。太陽光、風力、小水力、地熱、こういうのを合わせますとね、原発の電力の40倍ぐらいの潜在力を持っているんですね。ですから、これに本腰を入れて大至急取りかかるということが大事ですね。そうしますと、大きな展望が開けてくると思います。

 中西 各政党とも同じようなことをおっしゃってはいるんですけども、具体的にロードマップを示しているという政党は今のところないですもんね。そのあたりが私は、ちょっと不満なんですよ。

 志位 私たちは、ロードマップを示しているんですよ。去年の6月に(原発撤退の)「提言」を出しまして、原発というのは一度事故を起こしたら、被害がどこまでも広がってはてしがない。

 中西 そうです、そうです。

 志位 食い止めようがない。「異質の危険」を持った技術で、とても使える技術ではない。だからやめるべきだということを言って、5年から10年以内にこれをなくしていこう。そしてそれが現実にできるという行程表を示しました。

 中西 民主党は40年と言ってましたから、だいぶスピードアップしてますね。

 志位 40年など、とんでもないですね。

 同時に、再稼働というのが問題になってますでしょう。これは大問題です。だいたい福島原発の事故原因が分かってないでしょう。政府がとりあえずとりなさいと言った30項目の、免震事務棟とかフィルター付きベントとかの「安全対策」がやられてないでしょう。これで「安全だ」と言って動かしたら、「安全神話」をまた復活させることになる。だから再稼働はやめるべきだと。

 毎週金曜日になりますと、首相官邸前に若い方たちを中心に大きな行動が起こっています。私も参加しましたが、「再稼働反対」ということで先週は4万5千人集まった。無謀な再稼働をやめろと、これを強く言っておきたいと思います。

比例定数削減で切られるのは何か

 中西 最後に、「国会議員の数を減らせ」という国民の声が強いんですが。こういう声にはどういうふうにお答えになりますか。

 志位 私は、国会議員を減らす、特にいま問題になっている比例代表の部分を80減らすというのは、民主党が言っているわけですが。これでよく「身を切る」というのですが、切られてしまうのは、国民の民意なんですよ。比例代表というのは並立制という選挙制度の中で、唯一、多様な国民の民意を国会に届ける大事な部分になってるわけです。これを80もバサッと削ってしまったら、多様な民意が国会へ届かなくなって、いわば国会は二大政党しかなくなっちゃう。

 中西 はぁー。

 志位 比例の削減というのは絶対やっちゃいけない。私たちは、政治の特権にメスを入れると言うのだったら、政党助成金320億円、これを撤廃する。議員歳費も、「2割削減を2年」と言うんだけど、2年と言わずにこれをきちんと削ると。それと文書交通費も高すぎる。ここにもメスを入れると。こういう改革が必要だと思っています。

総選挙――

「二つの害悪」ただす展望訴えて

 中西 そうですか。総選挙がうわさされますが、志位さんはいつごろになりそうだと読んでいらっしゃいますか。

 志位 これは分かりませんね。私が決めるわけじゃないですし。ただ、「政権交代」に国民のみなさんが期待したのは、「自民党政治を変えてほしい」というものだったと思うんですね。ところが消費税、原発、TPP、基地、あらゆる点で裏切ってしまった。いまや民主党と自民党は変わらないですよね。うり二つになって談合をしている。そういう政権には、国政を担う資格はありません。解散・総選挙で審判を仰げということは、ずっと言っていることなんです。

 そのさいに、いまの日本の政治、どうしてここまで行き詰まっちゃったかということを考えますと、根っこには「アメリカいいなり」と「財界中心」という「二つの害悪」がある。たとえば消費税増税や原発再稼働。だれが圧力をかけているかというと日本経団連ですよ。この圧力で動くような政治でいいのか。TPPや基地、だれが圧力をかけているかといったら、アメリカですよ。アメリカの圧力で動く政治でいいのか。これを断ち切って、「国民が主人公」の新しい日本に切り替えていくような、そういう展望を訴えてですね、頑張りたいと思います。

 中西 ありがとうございました。


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