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2012年6月25日(月)

主張

東電最終報告書

重大事故の自覚も反省もない

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 東京電力が昨年3月の福島原子力発電所の事故について、調査報告書を公表しました。

 炉心が溶融し、建屋が爆発、外部に大量の放射性物質を拡散させた最悪の事故は、1年3カ月以上たったいまも完全に収束せず、原子炉内部の状況もよくわかっていません。今回の報告書も「最終」とはほど遠いものですが、見過ごせないのは報告書が、必要な対策は講じていたのに、「想定外」の原因で事故が起きたなど自己弁護に終始していることです。重大な事故を起こした自覚も責任もありません。事故は起きないという「安全神話」を抜け出ていません。

責任転嫁と自己弁護

 東電福島原発の事故は、地震や津波がどのようにして原発の破壊をもたらしたかなど詳細な経過はわからなくても、東電が必要な備えを怠ったため事故を引き起こしたことだけは明らかです。マグニチュード(M)8クラスの大きな地震に見舞われることも、想定よりはるかに高い津波が押し寄せるだろうということも、予測は示されていました。それなのに「事故は起きない」という「安全神話」に縛られ、対策を怠ったことが事故の背景になったのは明白です。

 東電の報告書は、地震で配管などの機器が壊れたかどうかは確認できないが、「史上まれに見る大きな津波」で電源が途絶え、原子炉が冷却できなくなったといいます。しかもその理由は、東電の社内でも津波は15メートルにも達するかもしれないと予測されていたのに、「国の統一した見解」が示されていなかったので対策をとらなかったというのです。責任転嫁と自己弁護は見苦しい限りです。

 事故後の対応でも、政府の事故調査・検証委員会が1号機で原子炉を冷却する非常用復水器がいったん動いたのに現場の対応の問題で機能を喪失したと指摘したのに対しても、「プラント状態を踏まえた対応だった」と責任を認めようとしません。冷却できなくなった原子炉を冷やすために海水を注水するのが遅れたのではないかという指摘に対しても、早い時期から準備したが、首相官邸に派遣した担当者から「首相の了解が得られていない」といわれたからだと責任を政府に転嫁する態度です。

 東電の報告書は大量の放射性物質が放出されたのは、原子炉建屋が爆発した1、3、4号機ではなく、格納容器が破損した可能性がある2号機からだと主張しています。しかし、なぜ2号機から、どのようにして放射性物質が放出されたのかの説明はありません。福島原発事故による放射性物質の拡散でいまだに多くの人たちが住み慣れたふるさとに帰れず、生活の場を奪われています。事故を起こした責任に向き合おうとせず、反省もしない東電の姿勢はきびしく批判されなければなりません。

国民の安全ゆだねられぬ

 福島原発事故後、東京電力が被害の賠償や放射性物質を取り除く除染に十分責任を果たしていないと批判されるのも、事故の責任に向きあっていない証明です。それどころか東電は、原発が停止中の燃料費の負担を理由に電気料金の値上げを国民に押し付けようとし、福島原発以外の原発の再稼働さえたくらんでいます。

 事故への反省のなさは重大であり、そうした企業に国民の安全をゆだねることはできません。


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