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2012年6月25日(月)

オスプレイの普天間配備

“事故可能性区域”認めた 米軍が図面に明記

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 米軍が米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)への垂直離着陸機MV22オスプレイ配備に向けて作成した「環境レビュー」で、同基地の滑走路両端に「事故可能性ゾーン」(クリアゾーン)が明記されました。


域内に学校・保育園・住宅

 クリアゾーンの存在は、宜野湾市が独自に入手した「1992年版普天間基地マスタープラン」で明らかになりましたが、米軍が具体的な区域(図)を含めて公表したのは初めてです。

 クリアゾーンは米連邦航空法に基づいて米軍が作成した基準(AICUZ海軍作戦本部長指示)で設定されており、「事故の可能性が高く、土地利用に制限がある地域」(環境レビュー)です。同基準の前提となった調査によれば、重大事故の75%は滑走路やその延長線上で発生。米国では居住や経済活動が全面的に禁止されています。

 ところが宜野湾市の場合、07年時点でクリアゾーンに小学校や保育園・公民館などが18カ所、住宅約800戸が存在し、約3600人が居住しています。

 米国内法にも反した欠陥基地に、墜落が相次ぐ欠陥機オスプレイを配備すれば、住民を二重三重に危険にさらすのは明白です。

 環境レビューでは、基地内にあるクリアゾーン上の施設について「(米軍の指針上)不適合地として分類される」と指摘し、是正を求めています。一方、基地外については、「基地外にある居住区域や商業区域といった適合的でない地域も含んでいるようである」とのあいまいな表現で、「不適合性」を明確に認めていません。

 加えて、「これらの要件は基地内の計画目的のみのためであり、施設が米国外に所在する場合は適用可能な国際協定の要件を満たさなければならない」と指摘。米軍の全面的な特権を認めた日米地位協定に“適合”すれば、問題はないとの見解です。

これでも配備了承するのか

 欠陥基地に、欠陥機を配備―。墜落などの重大事故が起こる可能性の高いクリアゾーンが、オスプレイの普天間基地配備に向けた「環境レビュー」に明記されたことで、その危険性があらためて浮き彫りになりました。

 「政府は、このような調査結果を突きつけられてもオスプレイ配備を了承するのか」

 普天間基地の危険性・違法性を追及してきた伊波洋一元宜野湾市長は、クリアゾーンが基地外にはみ出ていることを「環境レビュー」が認めながら、そこに多数の住民が生活している事実を黙殺しようとしていることに憤りました。

 「日本政府は国会でクリアゾーンの問題を追及されても、これは米国内の基準であり、日本では適用されないと逃げてきた。しかし、日米で2000年に合意した『環境管理基準』では、日米どちらかのより厳しい基準を在日米軍基地に適用するとしており、矛盾しています」

 防衛省は13日、「環境レビュー」を他の自治体に先駆けて宜野湾市に提出しました。しかし、内容の説明は10分程度にとどまっています。しかも、提出の翌日、米国内で空軍仕様のオスプレイが墜落しました。同市基地渉外課は、「環境レビューの信ぴょう性自体に疑問が生じている。防衛省に再度、説明を求めることもありうる」としています。

写真

(写真)「環境レビュー」に明記された普天間基地のクリアゾーン(太枠)。米軍の基準によれば、滑走路の両端から幅約460b×長さ約900b×幅約700bの台形になっている。図は米軍資料を一部加工


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