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2012年6月23日(土)

主張

「改革推進」法案

“火事場泥棒”は許されない

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 民主、自民、公明の3党が提出した消費税大増税と社会保障改悪の「修正」・関連法案の審議が始まりました。重大なのは、社会保障「改革」の全体像を方向づける「社会保障制度改革推進法案」という、まったく新しい法案を突然持ち出してきていることです。3党は26日にも衆院での採決を強行する構えです。消費税の10%への引き上げ法案とともに、こんな重要法案をどさくさ紛れに押し通すことは絶対に許されません。

理念の大幅塗り替え

 「改革推進法案」は、「一体改革」法案の「修正」協議で自民党が「社会保障制度改革基本法案」として骨格を示し、民主党がほぼ丸のみ、公明党が同調したものです。

 法案では「基本的な考え方」で、社会保障制度の基本は「自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされる」ことだと明記しました。日本経団連が5月に発表した提言で求めた「自助・共助・公助のバランスを見直し」と同じ意味です。「自助」という“自己責任”の考えを社会保障の基本にすえ、給付の「重点化」や運営の「効率化」とあわせて、社会保障にたいする国の責任と負担を減らす狙いが込められています。

 財界が長年要求してきた、社会保障の公的責任とは根本的に相いれない考え方を3党が法案に書き込み、突然持ち出したことは、きわめて異常です。国民の負担は増やす一方、大企業の負担は減らすことになります。

 「基本的な考え方」には、国民の自立を支える「家族相互」「国民相互の助け合いの仕組み」を掲げています。社会保障を「家族」などの「助け合い」に置き換える考えです。国の責任で「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進」をはかるとした憲法25条に根本から反します。

 しかもその社会保障の財源について「消費税収を主要な財源とする」と枠をはめたのは、「消費税増税か、社会保障削減か」という「二者択一」に国民を追い込むものにほかなりません。消費税を「主要な」財源にするとなれば、社会保障を事実上、消費税収の範囲内におさえることになりかねず、社会保障の大幅切り下げは必至です。

 法案は、年金・医療・介護などの各分野で、「適正化」の名の下でのサービスの切り下げや負担増、「保険はずし」などの方向を示しました。なかでも生活保護制度改悪を特別に取りだして標的にしていることは、生存権破壊を狙う乱暴なやり方です。

 法案が狙うのは、自公政権時代にすすめられ、国民からきびしい審判が下された「構造改革」の名による社会保障の連続改悪をより露骨な形で復活・加速させることです。こんな大改悪を「社会保障の充実勝ち取る」(公明党)などと宣伝することは国民を欺く以外のなにものでもありません。

徹底審議で廃案に

 法案がつくる「国民会議」は、社会保障改悪の合意を完全に実行する体制作りです。3党合意は、民主党に最低保障年金制度の創設や後期高齢者医療制度廃止の公約をも完全に放棄させました。

 社会保障全体の改悪にかかわる法案を“火事場泥棒”的に強行することは許されません。法案を廃案にし、消費税に頼らない社会保障充実・財政危機打開の道に転換することこそが急がれます。


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