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2012年6月21日(木)

総合支援法成立

声聞かず 審議わずか

障害者ら 新法へ運動を決意

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 障害者自立支援法の名前を変えただけの障害者総合支援法が可決、成立した中、全国から集まった障害者や関係者200人余りは20日、「私たちの声を聞かず、審議もつくさないまま障害者総合支援法が成立するのは許せない」と怒りの声を上げました。同時に、新法制定まで運動を続ける決意を固め合いました。


写真

(写真)「参院は総合支援法案を採決するな」と唱和する200人余りの参加者=20日、国会前

 38歳の息子が障害者自立支援法違憲訴訟元原告の秋山宇代(たかよ)さん(70)は、参院厚生労働委員会で小宮山洋子厚労相が19日、同法案提出に際して訴訟団関係者に説明し、「納得してもらった」と発言したことにふれ「許せない気持ちでいっぱいだ」と強調。「障害者が安心して暮らせる社会はすべての国民が安心して暮らせる社会。多くの人と手を取り合って『基本合意』と『骨格提言』を生かした新法をつくる運動をすすめたい」と決意を述べました。

 てんかんの持病がある男性(51)と東京都小平市から来た男性(35)は、統合失調症を患っています。「自立支援法では、病気を自己責任とされた。新法を実現して、病気を持っていても就職して自立したい」と思いを述べました。

 「障害者自立支援法違憲訴訟の基本合意の完全実現をめざす会」の太田修平事務局長は「私たちが声を出し人間としての権利を主張することで、悪い方向へ進もうとする政治に歯止めをかけている」と強調。「全国の人たちとつながり運動の先頭に立って、社会を変えていこう」と呼びかけました。

 同日、障害者自立支援法違憲訴訟団は厚生労働省で記者会見し、「訴訟団と交わした法制上の約束と願いを踏みにじる総合支援法は断じて許すことができない」とした抗議声明を発表しました。


解説

国と障害者の合意完全に裏切る暴挙

 民自公3党は、自立支援法の恒久化を狙う障害者総合支援法をわずかな国会審議で強行成立させました。当事者抜きに障害者のこと決めない、新法をつくるという合意を完全に裏切った法案を押し通す暴挙です。

 参議院では、厚生労働委員会で審議入りした19日、趣旨説明から採決までわずか3時間たらずで押し通し、参考人質疑もなしで民自公の談合の結論を押し付けました。衆議院でも参考人質疑もなく、3時間の審議で採決が強行されていたものです。

 国会には連日、障害者ら関係者が詰めかけ、徹底審議を求めました。採決を強行した参院厚労委は傍聴者であふれかえり、政府の不誠実な答弁のたびに怒りの声があがりました。

 民主党政権が自立支援法違憲訴訟団との和解の基本合意で確認した、当事者の意見を踏まえることなく障害者自立支援法を制定し「障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」という反省はどこにいったのか。採決強行を談合した自公両党の責任も厳しく問われます。

 そもそも自公政権が強行した障害者自立支援法(2006年4月施行)は、障害者が生きるために必要な支援を「益」だとして1割負担を課し、障害が重いほど負担が重くなる「応益負担」を持ち込みました。総合支援法は、「応益負担」などを残し、障害を自己責任・家族責任とする点で自立支援法と根幹は変わりません。

 政権交代の公約で自立支援法の「廃止」を掲げた民主党政権は、当事者が多数参加する内閣府の障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会に、新法の考えをまとめることを依頼しました。にもかかわらず、同部会が示した「骨格提言」(11年)をほとんど法案に盛り込みませんでした。こうした経過も当事者の熱意を踏みにじるものです。

 自立支援法の文字通りの廃止と新法制定は、国が司法の場で約束した重いものです。「総合支援法」の強行成立をもって棚上げすることは許されません。(鎌塚由美)


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