「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年6月16日(土)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 知人からの便りの封を開けたとたん、えもいわれぬ香りが漂いました。紙にくるまれて、赤い花びらが数枚入っていました▼ハマナスです。添え書きにありました。「香を聞かれたあとはホワイトリカーに漬け、2、3カ月おけばハマナス酒で楽しめます」。花の美。香りのかんばしさ。お酒。熟した実もおいしいというのですから、なんとありがたいハマナスでしょう▼ハマナスは、ノバラの一種です。世界のノバラでもっとも花が大きい種、といいます。ハマナスを、「玫瑰」と書き表す俳句などをみかけます。日本と朝鮮南部の特産なのに、昔の人が別の植物の中国名「玫瑰(ばいかい)」をあてたようです▼植物学者の牧野富太郎は、「ハマナス」名にも異を唱えました。本当は「ハマナシ」だ、と。どうみてもナスには似ていない。実をナシのように食べる浜のナシ、ハマナシだ。東北地方で「シ」を「ス」と発音するため「ハマナス」に転じた、といいます▼間違いなく東北に多い植物です。野生のハマナスは、日本海側では北陸あたりから北の、太平洋側で茨城県から北の、浜辺に育ちます。「知床旅情」でハマナスが歌われる北海道では、ぐるりの海岸線で花を咲かせ、短い夏を彩ります▼東日本大震災の津波をかぶった海岸に、ふたたびハマナスは海をみながら咲いているのでしょうか。「玫瑰(はまなす)や今も沖には未来あり」(中村草田男)。復興の妨げは多いけれど、国中の人々が力を合わせるなら、沖のこちら側にもたしかな未来が描けます。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって