2012年6月13日(水)
日航不当解雇 “働く全女性の問題”
新婦人が国連にリポート
新日本婦人の会(新婦人)は、国連人権理事会が日本の人権状況を審査することに向け、日本航空が強行した整理解雇などを取り上げたリポートを国連人権高等弁務官事務所に提出しています。日航がパイロットと客室乗務員を解雇し、東京地裁が解雇を容認する判決を出したことは、女性差別撤廃条約など国際法に照らして問題がある、と訴えています。
60歳定年を実現
リポートは、日航最高経営責任者(稲盛和夫氏)が解雇の必要性はなかったとする証言をしたにもかかわらず、東京地裁が、解雇は合理性があったとする判決を出したことを批判。解雇対象者の人選基準に年齢や過去の病歴などが含まれていること、解雇された客室乗務員の大半が労働組合員であることは人権上問題があるとしています。労働者を差別的な解雇から守る「整理解雇の4要件」の効力を弱めることへの懸念を表明しています。
日航解雇問題を取り上げた理由について、新婦人の平野恵美子男女平等・働く女性部長は、次のように語っています。
「日航の不当解雇は、働く女性すべてにかかわる問題です。日航キャビンクルーユニオン(CCU、前身は日航客室乗務員組合)は、結婚退職があたりまえ、女性の定年は30歳があたりまえの職場を、結婚しても出産しても働き続けられる職場にしようと、粘り強くたたかって、60歳定年を実現してきました。このたたかいがあったからこそ、働く女性を守る制度がつくられてきたのです」
今年2回目審査
2006年に設置された人権理事会では、国連のすべての加盟国を対象に、4年ごとに人権状況を定期審査しており、今年は日本が2回目の審査を受けることになっています。NGO(非政府組織)の報告も審査対象となります。
新婦人は、NGOとして国連経済社会理事会の特別協議資格をもっており、これまでも女性の地位委員会や女性差別撤廃委員会などに報告を行ってきました。人権理事会へのリポートでは、女性差別問題、東日本大震災・原発事故にかかわる状況、女性の働く権利、女性の政治参加、日本軍「慰安婦」問題などを指摘しています。