2012年6月9日(土)
国・建材44社に責任
建設アスベスト 原告控訴
東京高裁
建設現場でのアスベスト(石綿)曝露(ばくろ)によって肺がんなど健康被害を受けたとして、神奈川県の元建設労働者と遺族が国と建材メーカー44社に損害賠償を求めた裁判で、原告団と弁護団は8日、原告の請求を棄却した横浜地裁判決は不当だとして、東京高裁に控訴しました。
控訴したのは91人。亡くなった原告患者は47人で、遺族4人が裁判に加わりました。
横浜地裁は5月、石綿含有建材の使用を促進した面が国にあったことは否定できないと認めながら、職場でアスベスト曝露は少なく、管理が可能だったとして、国の責任を不問に付しました。また、建材メーカーについては、製品が多種多様で、被告企業の関連性はなく、共同不法行為は成り立たないとして免罪しました。
原告団長の平田岩男さんは「裁判所には建材メーカーが加害者であることを認めて、アスベスト含有建材を指定・認定してきた国の責任を明らかにしてほしい」と話しました。
阪田勝彦弁護士は横浜地裁判決について、「被害の実態から目をそらし、アスベストによる産業的価値を強調している。生命、健康よりも産業を優先させている」と指摘。国の責任を認めた筑豊じん肺訴訟最高裁判決や水俣病関西訴訟最高裁判決を無視しており、「命こそ最大の価値との考えに真っ向から反する」と批判しました。