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2012年6月9日(土)

改革求める中南米

「米州機構」 年次総会

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 【ラパス=島田峰隆】南米ボリビアのコチャバンバ郊外で3〜5日に開かれた米州機構(OAS)年次総会では、長年、米国の中南米支配の道具となってきた米州機構のあり方を根本から問う声が、中南米諸国から上がりました。中南米諸国が米国抜きの地域統合を強める中、米国の影響力の低下を改めて鮮明に示す会議になりました。


 「中南米諸国が示した提案を受け入れないならば、米国こそがOASを葬る唯一の責任者になるだろう」

 ボリビアのモラレス大統領は5日、会議閉幕にあたっての会見で語りました。

 同大統領は開幕演説で、米国がOASを足場に中南米諸国に介入してきた歴史を批判。機構の「再建」を呼び掛け、具体的措置として、軍事同盟である米州相互援助条約(リオ条約)の廃棄や主要機関の米州人権委員会の廃止などを求めました。

異例の事態

 この演説を機に総会では、米国の外交政策、OASとそれに連動するリオ条約への批判が続出しました。

 エクアドルなど4カ国は5日、リオ条約の廃棄通告を正式に行うと発表。中南米の一部の国について人権状況の改善を何度も要求している米州人権委員会については、中南米8カ国でつくる米州ボリバル同盟(ALBA)諸国が「米国務省の政策を進める機構だ」(ベネズエラ)などと批判。同委員会の改革の必要性については、ペルーやブラジルも支持を表明しました。

 こうした批判を前に、ヤコブソン米国務次官補は4日、米州人権委員会の改革や「平等なパートナーシップ」の実現を約束。それでも米国批判はやまず、同次官補はその日の夜に日程を切り上げて突然帰国するという異例の事態となりました。

 ボリビアの与党・社会主義運動(MAS)の国会議員、セサル・ナバロ氏は、地元紙5日付で「OASは中南米支配の道具であることをやめて、機構を変革すべき時代に入っている」と述べました。

米抜き次々

 OASの中で米国が孤立する背景には、中南米地域で米国抜きの地域統合が進んでいることがあります。

 MASの元国会議員、グスタボ・トリコ氏は「南米諸国連合(UNASUR)や中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)など米国抜きの地域機構が重層的に生まれている。もはや米国は影響を及ぼせないし、OASが必要なのかという認識が強まっているからだ」と指摘します。

 今総会は2005年にベネズエラが策定を提案した米州社会憲章を全会一致で採択しました。憲章は、弱肉強食の新自由主義からの脱却を目指す中南米諸国の動きを反映し、経済発展で国が果たす役割を重視しています。

 米国が敵視してきたベネズエラが提案した文書がOASで実ること自体、この地域での米国の影響力の低下をうかがわせるものです。中南米諸国の中からは、貧困削減や人間らしい労働を目指す同憲章をOAS再建の土台にするべきだとの声が出ています。これにどう答えるのか米国の姿勢が問われます。


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