2012年5月26日(土)
ニコンが中止
中国残留朝鮮人「慰安婦」 写真展
「上部の決定」
戦後、旧日本軍によって中国に置き去りにされた朝鮮人「慰安婦」の写真展が、会場を運営するニコンの決定で中止となることが分かりました。
写真展は、韓国人写真家・安世鴻(アン・セホン)さん(41)=名古屋市=を代表とし、友人らが加わる「重重〜安世鴻日本軍『慰安婦』写真展実行委員会」(通称・重重プロジェクト)が主催するもの。「重重」には、元「慰安婦」が重ねた苦悩に「慰安婦」問題解決の願いを重ねたい、との思いが込められています。
実行委員会は、元「慰安婦」被害者の生涯を記録し、その人権回復と「慰安婦」問題早期解決のために各地で写真と講演の会を開いてきました。
昨年12月にニコンに申し込み後、写真家らが構成する選考委員会の選考を通り、今年6月26日〜7月9日、東京・新宿ニコンサロンでの開催が決定していました。
ところが、22日、ニコンサロン担当者から安さんに、「写真展を中止してほしい。理由についてはお話しできない。(中止)決定には選考委員はかかわっておらず、ニコン上部の決定だ」との電話があったものです。
安さんは「理由を説明できない写真展中止決定は受理できない。世界に名の知れる大企業ニコンの対応は、表現の自由を侵し、一人の写真家の名誉を傷つけるものだ。写真展開催の再開を求める」と話します。
本紙の取材に対し、ニコン広報部は「諸般の事情で、会社として中止すべきだと決定した」とのべています。