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2012年5月25日(金)

福島第1放射性物質

大気放出、従来値の倍

東電発表 推定90万テラベクレル

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 東京電力は24日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)事故で大気と海洋に放出した放射性物質の量の推定値を発表しました。放射性物質の放出が始まった昨年3月12日から同3月31日までの大気への放出量は約90万テラ(1テラは1兆)ベクレルだったとしており、経済産業省原子力安全・保安院が2月に発表した推定値約48万テラベクレルの2倍近い値となりました。 海洋に放出した放射性物質の量は1万8100テラベクレルと推定されるとしました。

 福島第1原発では、昨年3月11日の地震と津波で全ての電源を失い、運転中だった1〜3号機の原子炉を冷却できなくなって炉心が溶け、発生した水素によって3月12日以後、1〜4号機で次々爆発が起こりました。また、1〜3号機で格納容器内の気体を逃がすベントの操作を行いました。大気への放出は主に爆発とベントに伴うものです。

 東電は福島第1原発構内で測定した空気中の放射線量のデータと、気象データを組み合わせて大気への放出量を計算しました。その結果、ヨウ素131が約50万テラベクレル、セシウム134が1万テラベクレル、セシウム137が約1万テラベクレルとなったといいます。このほかに放射性のクリプトンやキセノンなどからなる希ガスも約50万テラベクレルと見積もられました。

 福島県飯舘村など北西方向に広がった汚染は、3月15日朝と夜に、2号機原子炉建屋から放出された計約10万テラベクレルのヨウ素131などが、当時の風向や降雨で沈着した影響と推定しています。

 国際原子力評価尺度(INES)では、各放射性物質の放射能量をヨウ素131の値に換算して事故のレベルを評価しています。東電は、保安院などの推定値と同様、ヨウ素131の値にセシウム137の値を40倍した値を加えた値として放出量を約90万テラベクレルとしたものです。

 しかし、今回の値について東電自身がさまざまな不確実性があるとしているほか、セシウム134の量が反映されていないなどの問題があります。

 海への放出は、主に大気からの降下と、高濃度放射能汚染水の流出などです。東電は、福島第1原発の敷地の北側と南側にある放水口付近で測定した海水中の放射能濃度をもとに、3月26日から9月30日までの放出量を計算しました。その結果、ヨウ素131が1万1000テラベクレル、セシウム134が3500テラベクレル、セシウム137が3600テラベクレルとなったといいます。

 これまで東電は、2、3号機の放出口付近から流出した高濃度放射能汚染水を中心に、海へ放出した放射性物質の量を4720テラベクレルとしていました。一方、日本原子力研究開発機構は昨年9月、海への放出量を1万5000テラベクレルとする推定結果を示していました。

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