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2012年5月25日(金)

NHK経営委員長が辞任

東電取締役就任へ 兼職批判受け

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 NHK経営委員会の数土(すど)文夫委員長は24日、緊急記者会見し、NHK経営委員と経営委員長を辞任し、内定している東京電力の社外取締役に専念すると表明しました。

 数土氏がNHK経営委員長と東電社外取締役を兼職することには、放送の中立性確保の観点から批判が強まっていました。数土氏は辞任の判断で、「視聴者と経営委員に配慮した」と述べ、「出処進退は自分で決めた」と強調しました。

 数土氏は昨年4月に経営委員と経営委員長に就任しました。小丸成洋前委員長(福山通運社長)に続いて、NHK経営のトップが任期途中で辞任する異例の事態となります。

 数土氏は24日の会見で、大部分の経営委員と同日までに意見交換し、兼職に対する賛否の両論があったと説明。最終的に同日昼に辞任を決断し、総務省に辞意を伝えたと語りました。数土氏は東電の社外取締役に専念する決断をした理由について、「(東電の再建問題は)国難だとの思いが高まってきた」と強調しました。


解説

「兼職反対」追い込んだ世論

 数土文夫・NHK経営委員長は、現職のままで強引に東京電力取締役に納まろうとしていました。それを辞任に追い込んだのは、市民・視聴者の「NHK経営委員長と東電取締役の兼任に反対」する強い声です。

 数土氏が東電の取締役に内定したと報じられたのは12日。14日には、市民やメディア研究者が参加する「開かれたNHKをめざす全国連絡会」や「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」が、「取締役就任撤回」「経営委員長辞職」を求める申し入れ書を提出しました。関西の市民団体は、大阪・神戸・京都の各NHK放送局を通じて「辞任を求める要望書」を届けました。「放送を語る会」は緊急討論集会を予定しています。これらの運動の広がりは、「しんぶん赤旗」で取り上げてきました。

 23日までにNHKに寄せられた視聴者の意見はおよそ400件。多数が「兼職に問題がある」というものでした。

 市民やメディア関係者が主張したのは、「言論・報道機関であるNHKのトップ(経営委員長)が、政府のもとにおかれる東電の取締役になることは、公共放送の自主自立を危うくし、視聴者の信頼を失わせることになりかねない」というものです。

 福島の原発事故後に強く指摘されたのは、原発推進の一端を担ってきたメディアのあり方です。原発推進勢力はひるむどころか、経営委員長を東電の取締役にすえようとしています。NHKをまるごと取り込もうとするのがねらいです。市民がそれを許さなかったところに、今回の経営委員長辞任の重要な意味があります。

 数土氏は「東電の再建は)国難」として取締役に専念すると言います。ここにも原発被害で苦しむ国民の気持ちとは遠くかけ離れ、放送・報道に対する見識のなさが露呈しています。ほかの経営委員からも、会長はじめ執行部からも「兼職に反対」の表明がないのは、その姿勢が問われます。

 経営委員会は、NHKの方針を決め、会長を選ぶ権限を持つ最高意思決定機関です。委員は、国会の同意を得て首相が任命。委員長は互選とはいえ、時の政権の意向が働くといわれています。これまで市民の間からは公募制の導入を望む提案が出ていました。今回の委員長辞任で、実行に移す時期です。 (佐藤研二)


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