2012年5月24日(木)
パキスタン 援助必要でも 国民に反米感情
NATO補給路再開、合意至らず
【ニューデリー=安川崇】パキスタンが閉鎖しているアフガニスタン向けの北大西洋条約機構(NATO)軍補給路の再開について、パキスタンのマリク内相は22日、「協議は続いている」と語り、米側との合意に達していないことを明らかにしました。
早期再開を求める米国に対し、パキスタンは昨年11月のNATO軍による誤爆事件の謝罪や、国内での無人機作戦の中止などを求めています。21日まで米シカゴで開かれたNATO首脳会議の期間中に両国が再開で合意するとの見方も出ていましたが、発表はありませんでした。
米テレビの報道によると、パキスタンは物資の通行料をトラック1台あたり5千ドルに増額するよう要求。米国がこれを拒んだといいます。
NATO首脳会議にはパキスタンのザルダリ大統領も参加しましたが、オバマ米大統領とは短時間言葉を交わしただけでした。
ただ、パキスタン議会は4月に補給路再開を提案。政府もそれを実行する意向を示しています。パキスタンは欧米からの援助を必要としており、いずれNATOへの協力を再開するとの見方が強い。一方で昨年5月のウサマ・ビンラディン容疑者殺害以降、国内では反米世論が強まっており、政府は双方をにらみながらの判断を迫られるとみられます。
マリク内相は首都イスラマバードで記者団に「パキスタンも国際社会の一員であることを忘れてはならない。心を開き、よく考慮して判断する」と含みを残しました。