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2012年5月23日(水)

きょうの潮流

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 金環日食を路上で一緒に見ていた、隣家の年配の女性がいいました。「太陽ってすごいね」▼続けて、「金環日食でもこんなに明るい。ふだんは暑いとかなんとか文句いっているけど、感謝したいわ」。同感でした。降り注ぐ光、おこる熱。太陽の恵みと自然エネルギーを生かせば原発などいるものか、と▼青年劇場の「臨界幻想2011」(27日まで。東京・紀伊國屋サザンシアター)の、舞台と客席が熱い。初演は1981年でした。原発で働く息子を急病で亡くした農家の母が、いちずに突き詰める話です。元気だった息子がなぜ?▼彼女は町の青年たちとともに、しだいに真相に迫ってゆく。彼らに、電力会社や原発を守ろうとする人々のあの手この手のしめつけが強まる。そんなとき、放射能に敏感な植物に異変が表れ、そして…。母はいう。「(息子の死を)無駄にしてしまったんだもんね、わだしたぢ」。作者ふじたあさやさんの、福島の事故を30年前に予言しつつ防げなかった口惜しさが重なります▼劇の下請け労働者は、“石油の時代だ”と炭鉱を追われ、こんどは“原子力の時代”といわれて原発で働きます。彼らの命とひきかえに、お粗末な技術を「安全」とみせかけてきた原発。作者は問いかけます。目に見えないのは放射能だけではない。「安全神話」のからくりも人々に見えていなかったのではないか▼笑いと涙を誘い、再演にかける劇団の意気込み十分の舞台に、演技中も拍手がわく。演劇の力を思い知らされました。


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