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2012年5月20日(日)

ギリシャ来月出直し選

緊縮策再び問う

「ユーロ圏残留を」国民多数

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 今月はじめに総選挙を実施したばかりのギリシャで、6月17日に出直し選挙が行われることになりました。債務危機打開のため欧州連合(EU)などから支援を受ける条件として受け入れた緊縮政策が国民多数に拒否され、政権与党連合の議席が過半数割れし政権を樹立できない事態にいたったためです。(浅田信幸)


 総選挙で示された国民の意思は明白でした。緊縮政策推進派が得た票は、全体の3分の1にも達しない32%でした。その他の票は反緊縮を訴える各党に集まったのです。

 しかし、財政支援をしているEUや国際通貨基金(IMF)は総選挙後も「ギリシャは緊縮政策を実行すべきだ」と強調。IMFのラガルド専務理事は欧州単一通貨ユーロ圏からのギリシャの離脱も考えるべきだと公然と提起しました。

 このため6月選挙では、「ユーロ離脱か緊縮政策受け入れか」が争点だといった報道が日本でも欧州でも大々的に行われています。

 これに対し、総選挙で「緊縮反対」を掲げ第2党に躍進した急進左翼連合のツィプラス党首は、「国民の審判を尊重すべきだ」と述べ、「『緊縮かユーロ離脱か』は脅しだ」と反論。再選挙では第1党に躍り出る可能性が強いと予想されています。

 世論調査によると、国民の7〜8割はユーロ圏にとどまることを希望しています。急進左翼連合も緊縮政策ではいったん現行の合意方針を撤回したうえで、改めてEUなどと再交渉することを主張。ユーロ圏からの離脱は求めていません。

 問題は、2009年の債務危機発生以来続く厳しい緊縮政策がすでに国民の限界を超えていることです。この4月には「政府のせいで生きていけなくなった」「ごみ箱から食べ物をあさる前に、死ぬ以外にまともな方法を見付けられなかった」との遺書を残して、国会議事堂前広場で自殺した老人のことが話題になりました。

 ギリシャはいま緊縮政策によって景気は大きく後退。失業率は現在、全体で20%、青年層では50%を超えています。このため税収も落ち込み、さらに財政赤字が膨らむという完全な悪循環に陥っています。先の見えない窮状に見切りをつけ、国外に流出する若者も増えていると伝えられます。

 出直し選挙では、緊縮政策を柱とする従来型路線との決別を再度国民が示すことになるのは間違いありません。

 同時に、緊縮一辺倒でユーロ圏の債務危機を乗り切ろうとしてきたEUの対応も改めて問われることになります。


 ギリシャの選挙制度 一院制議会で定数は300。比例代表制で250議席を選出し、残る50議席を得票率第1党に配分します。得票率が3%に達しない党には議席が与えられません。

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