「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年5月20日(日)

消費税増税

「逆進性」対策 政府与党 混迷と矛盾

現金給付 自民「バラマキだ」

軽減税率 首相と税調が対立

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 消費税増税を押し付けるために持ち出されている「逆進性」対策をめぐって政府・与党が混迷と矛盾を深めています。自民、公明を取り込むための「修正協議」の焦点の一つといわれますが、その現状を見てみると―。


 所得の低い人ほど負担率が重くなる逆進性は消費税の避けられない欠陥であり、野田佳彦首相も「逆進性対策は間違いなく必要」と述べざるをえません。

 政府・与党がその柱にすえているのが、低所得者に現金を支給する「簡易な給付措置」と、減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」。まず前者を行い、10%に引き上げる15年までに後者を導入するとしています。

 これに対し自民党は「低所得者へのバラマキだ」などと批判し、一部の税率を低くする「軽減税率」の導入を主張しています。

 こうしたなか野田首相は17日、「軽減税率を効果的に使えないかという議論もある」(衆院社会保障・税特別委員会)と表明。自公両党との修正協議のそ上に載せる考えを表明しました。

 ところが同日、民主党の税制調査会役員会は「軽減税率を導入しない」と確認。藤井裕久会長は「そういう立場(軽減税率導入)をとらない」と切り捨てました。

 混迷と矛盾に陥っているのは、逆進性「対策」が増税自体と激しく矛盾するからです。

財源どこから

 財務省は、軽減税率を導入すると少なくとも3・1兆円の税収減になると試算。給付付き税額控除の場合、年収550万円以下の世帯に食品の増税分を返しただけで、事務費など年1兆円の支出増になるとしています。前原誠司政調会長が「(逆進性対策を行えば)税収が落ち込むか、ほかの税率を上げなければいけなくなる」と嘆くゆえんです。

 しかも政府は、10%増税分13・5兆円の使途にこの支出増を全く含めていません。

 日本共産党の佐々木憲昭議員は「政府が1年以上検討しても何も決められないのは有効な手段が見あたらないからだ。仮に対策をとった場合、大規模な財源をどこから捻出するのか。さらに消費税率を引き上げるのか」(11日の衆院本会議)と追及。野田首相は「具体的な内容はほかの社会保障施策を踏まえて検討する。財源は具体化を行う過程で検討する」と述べるだけで、何一つ明らかにできませんでした。

共通番号制度

 さらに給付付き税額控除を行うには個人所得の把握が必要だとして「共通番号(マイナンバー)」制度導入が前提となっています。

 しかし、共通番号制度を導入しても国民の所得をもらさず把握することは不可能です。政府・与党社会保障改革検討本部も「全ての取引や所得を把握し、不正申告や不正受給をゼロにすることは非現実的である」(社会保障・税番号大綱)といわざるをえません。巨費を投じて導入しても所得は把握できず、国民は社会保障の給付抑制と、プライバシー侵害の危険性にさらされるだけです。

 逆進性という消費税の本質的な欠陥にいくら「対策」を講じても矛盾を深めるだけで、「逆進性」対策というのなら、消費税増税そのものをきっぱりやめる以外にありません。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって