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2012年5月15日(火)

独でも「緊縮ノー」

最大州議選で与党大敗

SPD 格差是正など訴え第1党

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 13日に投開票されたドイツ西部のノルトラインウェストファーレン州(人口1785万人)の州議選で、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が大敗し、中道左派の社会民主党(SPD)が第1党となりました。緊縮財政実施かどうかが争点となる中、緊縮路線を掲げるCDUに明確なノーを示した結果は、欧州で同路線を推し進めるメルケル首相にとっても大きな打撃となりそうです。

 同州はドイツで最も多い借金を抱えています。州議選ではSPDが教育の充実や格差是正を訴えたのに対し、CDUは緊縮財政を掲げ、その実施を訴えました。

 ドイツの公共第1テレビによると、暫定結果で、SPDが得票率39・1%で第1党となったのに対し、前回第1党だった保守のCDUは26・3%と前回から8・3ポイント減らす大敗を喫しました。

 この結果を受け、SPDのガブリエル党首は「経済的発展と社会的施策を結びつけた社民党の典型的な政治家である(同州首相の)クラフト氏の勝利だ」と述べ、改めて緊縮政策を批判しました。

 一方、CDUのグレーエ書記長は「一つの州の議会選挙の結果が、メルケル首相の敗北にはならない」と語りました。

解説

中央政府に大きな打撃

 ドイツで最大の人口を持つノルトラインウェストファーレン州の州議選で、国政のメルケル与党が敗北したことは、欧州で緊縮を主導してきたドイツでも国民が緊縮ノーの声を上げていることを示しています。

 州議選では、社会民主党(SPD)と90年連合・緑の党の与党側が、教育予算を充実させ、すべての子どもを保育園に預けられるようにしようと主張。それに対し、キリスト教民主同盟(CDU)は、大きな負債があるのにさらに借金を重ねるのかと緊縮財政を訴えました。

 CDUは比例代表制で行われる選挙の名簿筆頭候補に、国政で環境相を務め人気の高いレトゲン氏を配してアピール。同氏はテレビのインタビューで「借金をして安定と将来を危うくするのかどうかが、欧州とともに州レベルでも問われている」と発言。ドイツで欧州債務危機への税金投入に反対世論が強いことを利用し、欧州レベルの債務問題と州レベルの問題を結びつけました。

 しかし結果は「メルケルの歴史的大敗だ」(ドイツ公共第1テレビ)と論評されるものとなりました。しかも現職閣僚を“エース”として投入しただけに大きな打撃です。

 来年、予定される連邦議会(下院)選挙や、ギリシャ債務危機などで問われる欧州財政問題への今後のドイツ政府の対応に少なくない影響を与えそうです。(片岡正明)

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