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2012年5月12日(土)

医療費窓口負担 減れば心も体も健康に

69歳(3割負担)⇒70歳(1割負担)比較

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 高齢者の医療費の窓口負担軽減が、健康状態の改善に効果―。東京大学大学院などの共同研究チームが国民生活基礎調査(2007年、厚生労働省)のデータを分析した結果、69歳までの3割負担が70歳以降1割に軽減されることにより、健康状態が精神面でかなり改善し、身体的にも改善する可能性が高いことが明らかになりました。


東大大学院など研究チーム

 研究チームの橋本英樹東大大学院教授は「メンタル面では70歳を境に急速によくなっている。医療サービスを使っていない人も同じ結果が出たのは予想外でした。医療費の心配から解除され『老後の安心』が得られた効果ではないかと考えている」と話します。

 橋本教授によると、窓口負担の軽減が人々の健康にどのような影響を与えるのかについてデータに基づく科学的な評価が行われたのは初めて。

 民主党政権は社会保障と税の「一体改革素案」で、70〜74歳の窓口負担2割への引き上げを検討するとしています。負担増額は1900億円です。

 同教授は、「財政的な理由から自己負担割合の引き上げが進められようとしていますが、その議論では健康への影響は全く考えられていません。人も制度も健康になるような、科学的な根拠にもとづく政策決定こそが求められている」と話しています。

 同研究は、国民生活基礎調査(2007年)から、64〜75歳の1万293人の医療費自己負担額(月)、身体的・精神的な健康状態に関する情報を先進的な統計学的方法で解析しました。

 通常64〜69歳で健康状態が年齢とともに徐々に低下するはずの傾向が、70歳からの自己負担軽減でどのように変化するかを推定しました。

 70歳以上の健康状態は、図1、2の赤実線(自己負担割合が1割に軽減された実際の観察データ)で示されています。青点線(自己負担割合が軽減されないと仮定した場合の想定ライン)との「2本の線の高さの差が窓口負担を1割に抑えている政策の効果と考えられる」と橋本教授は話します。

 精神的な健康状態については、07年の国民生活基礎調査に初めて導入された、精神的健康の測定指標(K6)の値を使いました。

 研究は、東京大学大学院(橋本英樹教授)、ハーバード大学(イチロー・カワチ教授及び西晃弘氏)、筑波大学(田宮菜奈子教授)の共同チームによるもの。厚生労働省の厚生労働科学研究(渋谷健司東大大学院教授)の一部として行いました。論文は世界保健機関(WHO)の専門医学雑誌に掲載されました。

グラフ

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