2012年5月11日(金)
耐性試験 「審査書は新組織で」
保安院 意見聴取会で批判の声
経済産業省原子力安全・保安院は10日、ストレステスト(耐性試験)に関する専門家の意見を聞く意見聴取会を開きました。政府が新しい原子力の規制庁を発足させようとしていますが、めどが立たないとして、3月29日以降開かれていなかったのを再開したものです。
会議の冒頭、出席した井野博満・東京大学名誉教授から「規制庁発足予定が延びているというが、従来の組織である保安院がストレステストの最終的な判断を出すことがあっていいのか。信頼される新しい組織ができてから審査書を出すべきだ」と述べました。
これに対し、保安院は「規制庁ができるまで、政府の方針に従って作業する」とだけ説明。井野氏は、関西電力の大飯原発3、4号機のストレステスト1次評価結果を「妥当」とした保安院の審査書が多くの国民から批判されているとして、これまでのような審査の進め方をあらためるよう求めました。
ストレステストは設計上の想定を超える地震・津波に原発がどこまで耐えられるかについてコンピューターを使って調べるもの。停止中の原発の再稼働の可否を判断する1次評価と、事故後の対応も含めて全原発の運転の是非を判断する2次評価があり、現在8電力会社が20基分の1次評価結果を国に提出。うち保安院の審査が終わったのは大飯原発3、4号機と四国電力の伊方原発3号機です。
一方、保安院の審査書を確認することになっている内閣府原子力安全委員会は、新しい規制庁ができないため「中ぶらりん」(班目春樹委員長)だとして、ストレステストの議論をする予定はないとしています。