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2012年5月9日(水)

シリアで人民議会選

軍の攻撃継続 国連総長「正当性ない」

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 【カイロ=小泉大介】軍による住民への攻撃がつづくシリアで7日、人民議会(国会、定数250)選挙が実施されました。アサド政権が2月の憲法改正国民投票につづく「民主化」の一環として位置づけたものですが、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は同日、「民主的プロセスは暴力が続く中では成功し得ない」として、同選挙には正当性がないと批判しました。

 「国民投票」で改正された新憲法では、政権党であるバース党を「国家と社会を指導する政党」としていた従来の規定が削除され、これまでに新たに九つの政党が設立されました。今回の選挙には、バース党中心の与党連合「国民進歩戦線」や新党から約7000人が立候補しました。

 現地からの報道によると、首都ダマスカスでは、有権者が「国家の危機の終結につなげたい」「普通の生活と仕事が欲しい」などとして投票する一方、軍の激しい攻撃が行われた地方都市では、閑散とした投票所が目立ちました。反政府組織「シリア国民評議会」は声明で、「国を血で染めているものたちが、選挙を実施する正当性を持ち得るはずがない」とボイコットを呼びかけていました。

 北部イドリブ在住の男性、アラー・アルディンユセフさん(30)は7日、本紙の電話取材に対し、「いまだに戦車がわが家の目と鼻の先に展開している状況で公正な選挙などできるはずがありません。投票しているのは、公務員など政権から強制された住民です。選挙は国際社会を欺くためのゲームだといわなければなりません」と証言しました。

 中西部ホムスの男性人権活動家、サリム・カッバーニさん(23)も「投票が行われているのは政権支持派の住民が多い地域だけです。反体制派の多い地域ではそもそも投票所となるべき学校の多くが軍に破壊され、有権者である住民が殺害されました。今回の選挙で選ばれた国会が、すべての国民を代表することなど不可能であり、まやかしにすぎません」と語りました。

 英国に拠点を置く「シリア人権監視団」によると、軍による攻撃で6、7の両日も全土で約30人が死亡し、昨年3月の住民弾圧開始以降の死者は少なくとも1万1100人に達しています。


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