2012年5月8日(火)
欧州 緊縮策ノー
仏大統領選 野党候補が勝利
ギリシャ総選挙 与党連合大敗
フランスで6日投開票された大統領選挙決選投票で、野党・社会党のフランソワ・オランド前第1書記が現職のニコラ・サルコジ大統領を破り当選しました。ギリシャでも同日、実施された総選挙で、全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と新民主主義党(ND)の与党連合が、前回総選挙時の合計得票率77%を32%に減らし、獲得議席数も過半数を割る歴史的大敗北となりました。
両国に共通するのは、政府が進める緊縮政策に対する有権者の強い反発で、政権与党がそろって、国民に、明確な「ノー」の審判を突きつけられる結果となりました。
仏大統領に当選したオランド氏は同夜、支持者を前に、「フランスは変化を選択した」と勝利を宣言。「もはや緊縮政策が唯一の選択肢ではないと欧州の多くの国が安堵(あんど)したはずだ」と述べました。
財政再建が争点となる中でオランド氏は、緊縮一辺倒でなく経済成長と雇用拡大を重視することを公約に掲げ、支持率でも一貫してサルコジ氏を上回るたたかいを進めました。
欧州単一通貨ユーロの危機を誘発する震源地となったギリシャでは、政府が欧州連合(EU)との間で、支援融資と引き換えに賃金引き下げや増税などの緊縮政策を実施することで合意したことへの反発が選挙結果にそのまま反映しました。
緊縮反対派では、EU内にとどまって改革を進めることを主張した急進左翼連合(欧州左翼党に加盟)が17%近い得票率をあげ、二大政党の一角を占めるPASOKを抜いて第2党に躍進しました。
両国の選挙に先立って3日に実施された英国地方選挙でも、国政与党の保守党と自由民主党がやはり緊縮政策の推進で大敗を喫しています。こうした一連の選挙結果がEU政治に影響を及ぼすことは必至。緊縮政策一本やりでなく、成長戦略にも配慮する方向に軌道修正せざるをえないとみられます。
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