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2012年4月18日(水)

不安全事例多発の日航

“安全な空”に解雇撤回不可欠

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 日本航空が大西賢会長直々に特別安全キャンペーンの大号令を発するほど不安全事例を多発させている背景には、安全軽視の経営姿勢があります。

 日航が安全に取り組むことは、国民が求めていることです。しかし、かけ声だけで、根本原因を取り除かなければ解決しません。個々の事例で責任をすべて労働者に押し付けることは許されません。

ベテランの流出

 安全キャンペーン実施要領に示されている発生事例一覧から、次のような疑問が浮かびます。▽ベテランが職場からいなくなり経験と技術が低下していないか▽体調不良でも休めないのではないか▽安全よりも利益最優先で判断していないか―などです。

 日航は、パイロットと客室乗務員の大量解雇などによる人員削減で、ベテラン労働者を職場から追い出しました。整備部門などでもベテラン流出は起こりました。

 大西会長メッセージでは、「基本手順の順守や確認会話の徹底等、当たり前のこと」や「その職場の方であれば誰もが知っている、ミスに陥りやすい特徴的なポイントを再確認すること」などを繰り返し伝えるよう求めています。ポイントを熟知しているベテラン労働者の流出で基本的な技術と経験が継承できなくなっていることを自ら認めています。

 パイロットが腹痛を起こして市販薬服用を問い合わせたとき、会社は服用可否を調べる以前に、なぜ直ちに乗務を止める判断をしなかったのでしょうか。安全より利益優先で欠航を避けようとした会社判断がなかったのか、疑問を持たざるを得ません。

 薬には眠気など「薬の二日酔い」と呼ばれる副作用のあるものがあります。航空法70条は「酒精飲料又は麻酔剤その他の薬品の影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間は、その航空業務を行つてはならない」と定めています。

 パイロットが体調不良の際、きぜんと乗務を休むためには、それによって解雇や賃金低下などの不利益を受けないようにすることが必要です。

 解雇撤回を求めたパイロット裁判で原告側は、経験豊富で年齢の高いベテランや、安全配慮で病欠した労働者の解雇は、安全に影響すると主張しましたが、東京地裁の渡邉弘裁判長は3月29日の判決で「想定し難い」と無視しました。

 しかし実際は、機長が骨折したままフライトした事例も起こりました。渡邉弘裁判長の判断がまったくの不見識であったことは、すでに日々の現実が証明しています。

 また貨物検査で爆発物反応の報告を受けても、「荷主が大手メーカー」だからと通報を遅らせた事例は深刻です。安全より利益を優先させる稲盛イズムの反映だとしたら重大です。

経営破綻の要因

 日航は2005年にも不安全事例を続発させて、国土交通省から業務改善命令を受けました。このため、国民の信頼を失い、経営破綻の大きな要因となりました。

 日航が解雇したベテランのパイロット、客室乗務員は、御巣鷹などの悲惨な事故を体験し、会社に繰り返し安全対策の強化を求めてきた人たちです。職場から安全を求める声が弱まることで、日航の安全対策が後退する懸念が指摘されていました。それを現実のものにしてはなりません。

 安全対策で日航に求められていることは、解雇撤回を求めるパイロットと客室乗務員を今すぐ職場に戻し、安全最優先の経営に転換する決断です。 (田代正則)


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