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2012年4月16日(月)

主張

生活保護の見直し

ハードル上げは権利破壊だ

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 野田佳彦政権が消費税増税・社会保障「一体改悪」に盛り込んだ生活保護制度見直しを本格化させます。首相は9日の国家戦略会議で、生活保護制度改定などを柱とする「生活支援戦略」(仮称)を今秋までにまとめることを指示しました。主要課題に掲げたのは、生活保護への「流入」抑制と保護からの「脱却」促進です。いずれも受給者数を縮減し財政負担を減らす狙いです。生活困窮によって保護が必要な人を制度から排除する改悪は許されません。

排除の動きをさらに加速

 生活保護の受給者数は全国で209万人(2012年1月)を突破し、過去最多を更新しています。長期化する不況に加え、雇用破壊による失業者と非正規雇用の増大、無年金・低年金など社会保障制度の機能不全が、貧困の拡大に拍車をかけています。

 このことは収入を失った多くの人たちの生存を保障する最後のセーフティーネット(安全網)といわれる生活保護の役割がますます重要になっていることを示しています。生活保護基準未満の所得世帯のうち受給世帯が15%程度にとどまっているという事態の改善こそが急務です。

 野田政権の「一体改悪」の見直し方向は生活保護機能の強化・充実どころか、いっそうの後退です。受給者数を圧縮するために(1)できるだけ「流入」させないこと(2)「脱却」を推進する―という両面で生活保護から締め出す改悪をすすめようとしているのです。

 「流入」対策では「生活困窮・孤立者の早期把握」などを掲げていますが、貧困を拡大している大きな原因である解雇や非正規雇用の規制などは一切ありません。目立つのは「適正化」という受給制限の強化です。

 厚生労働省は「不正受給」対策として警察官OBを福祉事務所に配置することを各自治体に要請していますが、市民を監視するような対応は受給権を妨げることになりかねません。各地で起きる「孤立死」では窓口で申請を受けられなかったケースもあります。不正受給は大問題です。しかし不正受給金額は全体の0・3%台で、大多数は真面目に生活している人たちです。不正受給対策を理由にした受給制限の強化によって、国民の生存を脅かすようなことはあってはなりません。

 「脱却」対策では、「就労・自立支援の強化」を打ち出しています。期間を区切った集中的な「支援」を推進するとしていますが、受給者の実情を考慮せず無理やり「自立」に追い立てるやり方は、受給者を精神的に追い込み、就労をさらに困難にさせることになります。機械的な「自立」の強要は事態を悪化させるだけです。

生存権を守るたたかい広げ

 政府だけではありません。自民党も政権公約案に「生活保護の見直し」を掲げ「給付水準の10%引き下げ」「医療費扶助の大幅な抑制」などを求めています。生活保護を破壊する改悪を競い合うことなど論外です。

 生活保護の充実とともに、いま何より求められるのは貧困対策に力を注ぐことです。受給のハードルを上げ、日本国民に「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)を保障した憲法の理念に完全に逆行する生活保護見直しを進める「一体改悪」は中止すべきです。


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