2012年4月14日(土)
浜岡原発 中部電が方針
21メートル津波対策先送り
中部電力は13日までに、内閣府の有識者会議が示した巨大地震発生時に想定される最大21メートルの津波について、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の追加対策を先送りする方針を固めました。津波の影響を分析するのに時間がかかり、詳細なデータを把握した上で、具体的な検討に入ります。
中部電は、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、18メートルの防波壁の建設など対策を進めています。津波が防波壁の高さを超えるケースも視野に入れ、建屋の浸水対策や非常用電源を確保するなど現状の対策で安全は確保できるとみています。
経済産業省原子力安全・保安院は16日までに巨大津波に備えた追加対策を報告するよう求めています。中部電は追加対策の是非について慎重に判断、保安院への報告には新たな対策は盛り込まない見通しです。
解説
廃炉決め抜本対策を
浜岡原発には現在運転を停止中の3〜5号機と、廃炉が決まっている1、2号機の5基の原子炉があります。内閣府の有識者会議が示した巨大地震が起きて予測される最大の津波が発生すればのみ込まれることになります。停止中であっても、原子炉が壊れたり、冷却機能を失ったりすれば重大な事態になります。
保安院が有識者会議の予測をもとに追加対策を報告するよう求めたのは2日です。それから10日あまりで現状の対策で安全を確保できると結論を出すなど、まともに検討したのかと疑わざるを得ません。
地震は浜岡原発の真下で発生し、その揺れは震度7になり、津波もほぼ同時に襲ってくるとみられています。しかも、地震はいつ起きるかわかりません。予測される揺れや津波よりも小さな揺れと津波で福島第1原発があれだけの事故を起こしたことからみれば、中部電力がいうように、建屋の浸水対策や非常用電源を確保することで大丈夫などとは、とても思えません。
中部電力は浜岡原発全基の廃炉をただちに決め、地震と津波に対する対策を抜本的に強化すべきです。
(間宮利夫)