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2012年4月12日(木)

撤退期限後も住民攻撃

シリア軍の調停案破りに怒り

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 【カイロ=小泉大介】シリア軍は、国連とアラブ連盟のアナン合同特使(前国連事務総長)の調停案が定めた市街地からの撤退期限であった10日も住民攻撃を続け、12日までの停戦実現は暗礁に乗り上げた形となりました。同国の人権活動家らは本紙に、アサド政権に対する怒りの声を上げました。

 シリアのムアレム外相は10日、訪問先のモスクワで会見し、「すでにわれわれはいくつかの地域から軍を撤退させた」と表明。しかし、ロイター通信がこの日も軍の攻撃で31人が死亡したと伝えるなど調停案破りは明白となっています。

 攻撃が最も激しい中西部ホムスの男性人権活動家、サリム・カッバーニさんは10日、本紙の電話取材に対し、「軍の戦車はいまも街に展開し、攻撃を続けています。撤退期限直前の9日夜になって新たに展開した地域もあります。攻撃で負傷した住民が医薬品の不足で死亡する例も出るなど深刻な事態です」と語りました。

 北西部イドリブ在住の男性、タリク・アベルハフィズさんも「軍は銃撃を続けるとともに、民家を襲撃して住民を拘束し、家を焼き払うことまで行っています。避難する住民が後を絶ちません。アサド大統領はうそつきとしかいいようがない」と告発しました。

 北部アレッポ郊外のジャーナリストの男性は「いまも上空を軍のヘリコプターが飛んでいる。銃撃の音が響き、多くの煙が立ち上っている。アサド政権は調停案をまったく履行していない」と批判しました。

 アナン特使調停案は、10日に軍が市街地から撤退した上で12日までに停戦を実現することを求め、アサド政権側も一度は合意しました。しかし同政権は8日になり、軍撤退には反政府勢力側の攻撃停止の保証が必要と主張。ムアレム外相は10日の会見で「暴力の停止は、国際監視団の到着と同時でなければならない」とさらなる条件まで提示しました。

 アナン特使は10日、トルコ南部のシリア人避難民キャンプを視察した後に会見し、「暴力停止に前提条件があってはならない」とアサド政権を批判。同時に、「暴力停止のための時間はまだある」とし、12日のぎりぎりまで調停努力を続ける考えを表明しました。


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